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第3章
第4話


体育祭の練習を終えて、急いでマーブルに向かうと、すでに準備が終わって仕事をしている莉菜さんと友梨奈の姿があった。


理央「お疲れ様です。すぐ準備しますね。」
美「うん、お願いね〜。」






今日は普段よりお客さんが少なめで穏やかな時間の流れだ。


そうなると気になるのが、友梨奈の元気のなさ。昨日の出来事があってもいつもと変わらない莉菜さんはありがたいのだが、覇気のない後輩が心配になってしまう。


理央「友梨奈。」
友梨「…はい。」
理央「もう少し何とかならないか、その暗いオーラ。」
友梨「…すみません。」
美「何かあったの?平手ちゃん。」
友梨「今朝、莉菜さんに言われた事が結構刺さってまして…。」
美「莉菜ちゃん、何言ったの?」
莉「ん〜、例の3人で朝から理央の取り合いしてたので、自分の気持ちだけじゃなくて理央の気持ちも考えてあげたら?って。」
美「へぇ〜、莉菜ちゃん良い事言ったね。それを言われて平手ちゃんは気付いたんだね、自分の一方的な好きの押し付けになってるって。」


そう言われると、力無く頷いた友梨奈。


友梨「…人を好きになるって経験が無かったのでどうしたら良いのか分からないんです。」
莉「私だって全然ないよ〜。でもさ〜平手ちゃんは理央に何を求めてるの?彼女になるのがゴールなの?」
友梨「それは…。」
莉「厳しい言い方かもしれないけど、それなら相手は理央じゃなくても良い事になるよね。彼氏を作る事が目的なら。」
友梨「………。」
美「莉菜ちゃん随分厳しいわね。どうしたの?」
莉「…私も理央の事好きになったから。」


その発言に店の中の時間が止まる。


友梨「…莉菜さん、本気ですか。」
莉「もちろん。ゴメンね応援するって言ったのに。」
美「昨日何かあったの?莉菜ちゃん。」
莉「…ええ、少し。」
理央「………。」
友梨「…でも負けないです。私だって理央さんの事、本気ですから。」
美「ふふ、こんな可愛い子達に迫られて大変だね〜理央。」
理央「美彩さん楽しんでます?この状況。」
美「ふふふ。」
理央「それに、莉菜さんも友梨奈も本人前によくそこまで言いますね。さすがに照れるんだけど。」
莉「こんな可愛い子達に迫られたら理性が持たない?イタッ!?」


そう言いながら俺に寄って来た莉菜さんの頭に手刀を落とす。


理央「そういう事言わない。可愛いのは事実だけど。」
莉「へへ。」
友梨「…理央さん、体育祭が終わったらデートして貰えませんか?」
理央「ん?デート?…いいよ。じゃあ体育祭の振替休日の月曜日で良いか?」
友梨「はい!」


やっと明るい表情になった友梨奈。


理央「友梨奈はそれでいい。」


そう言いながら頭を撫でると、照れた表情ながら嬉しそうだった。


莉「いいな〜平手ちゃん。私もデートしたい。ダメ?理央。」
理央「ダメじゃないです。じゃあ近々。」
莉「うん。楽しみにしてるね、理央。」


デートの約束を2人とするのを見ていた美彩さんが、


美「イイわね〜。私もデートしたいな〜。私も理央とお出掛けしようかな〜?」
理央「本気で言ってます?」
美「オトナの色気で、落としちゃおうかしら〜。」
「「絶対ダメです!!」」


俺に抱き付こうとした美彩さんを2人がブロックする。


美「あら〜、ジョーダンよ、2人とも。」
友梨「理央さん、絶対に美彩さんとデートしないで下さいね。」
莉「美彩さんは危険だわ。平手ちゃん、2人きりにさせないようにしないとね。」
友梨「はい。」
美「ヒドくない2人とも〜。みさにだって見境はあります〜。」
理央「普段の言動がエロいからそういう風に扱われるんですよ。友梨奈なんていつも赤面してるんだから、ほどほどにして下さい。」
美「は〜い。」


口を尖らし仕方なく返事をした美彩さんは何だか可愛らしかった。





理央「お疲れ様でしたー。」
莉「お疲れ様でーす。理央、今日も送ってー。」
友梨「美彩さん、お先に失礼します。あ、私も良いですか?」
理央「もちろん。さ、帰りますか。」
美「理央〜、変な事しちゃダメだからね〜。」
理央「さあ、2人次第ですよ、するかどうかは。」
莉「へえ、じゃあ…しちゃう?」
友梨「り、莉菜さん何を言ってるんですか。ダメですからね、絶対。」
理央「そっか、友梨奈には手を出せないのか、残念。」
友梨「えっ?あ、いや…理央さんがどうしてもって言うなら…あの…、」


顔を赤くしながら友梨奈がボソボソと言うので、愛おしくなり頭を優しく撫でる。


理央「ゴメン友梨奈。冗談が過ぎたな。でも、可愛いわ友梨奈は。」
友梨「…もう。帰りましょう、理央さん。」
理央「ああ、莉菜さんも行きましょうか。」
莉「うん、帰ろう。」
美「バイバ〜イ、また明日ね〜。」



3人で穏やかに喋りながら帰宅した。
…何もしてないです。ホントです。



hinata ( 2018/01/22(月) 20:37 )