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特別編
西野・若月卒業記念特別編
10月のある日。


七瀬「なぁ若月。」
佑美「どうしたのなぁちゃん?」


職員室で机を並べる佑美に声を掛ける七瀬。
佑美が七瀬の方を振り向くと、おもむろに封筒を取り出す。


佑美「それ何?」


七瀬は声を潜め、


七瀬「…3年生の男子から渡されてん。」
佑美「…もしかしてラブレター?」
七瀬「…やっぱりそうやろか?」
佑美「…開けてないの?」
七瀬「…う、うん。どうしよ。」
佑美「…なぁちゃんに気持ちを伝えようとしてるんだし、ちゃんと読んであげて?」
七瀬「…せやな。ありがと、相談乗ってくれて。」




翌日。


朝の職員会議が終わり、各クラスの担任が教室に向かうと再び七瀬が佑美に話し掛ける。


七瀬「…若月。」
佑美「…うん。」
七瀬「…昨日のやけど、やっぱりラブレターやったわ。」
佑美「…あー(やっぱり)ね。」
七瀬「…今日の放課後、屋上に来て下さいって書いとった。」
佑美「…どうするの?行くの?」


少し考えて、七瀬が口を開く。


七瀬「…ちゃんと断らなアカンやろ。教師と生徒やし。」
佑美「…あー(そうだよ)ね。因みにどんな生徒?」
七瀬「…えっと、バスケ部の子やで。」
佑美「…そうなんだ。」
七瀬「…若月放課後屋上に一緒に行ってくれへん?何かあっても困るし。」
佑美「…分かった。」






そして放課後。


七瀬は佑美を連れて屋上へ。


七瀬「若月はドアのところで待っとって?」
佑美「了解。」


ドアの向こうで1人の男子が立っていた。


「西野先生。」
七瀬「遅くなってゴメンな?」
「いえ。…あの、手紙読んで貰えたんですよね?」
七瀬「うん、もちろん。」
「俺、西野先生が好きです。ずっと好きでした。」
七瀬「君の気持ちは嬉しいんやけど、ゴメンなさい。応えられへん。」
「俺が生徒だからですか?」
七瀬「…せやな。教師と生徒の恋は認められんやろ?先生クビになったら困るし。」
「…建前の話はいいんすよ。」


男子生徒の口調が変わる。


「…俺の事どう思ってんの?」
七瀬「何とも思ってへん。あくまでうちの学園の生徒の1人や。」
「…何でだよ。俺はこんなに先生の事好きなのに。何でだよ!!」
七瀬「きゃっ!?」


生徒が七瀬の肩を掴み屋上の壁に押さえつける。


七瀬「や、やめなさい!!」
「先生…静かにしてよ。」


男子生徒の手が七瀬の口を押さえる。
生徒の目は完全に理性を失っていた。


七瀬『こ、怖い…』


七瀬は恐怖で涙が溢れる。









理央「はいそこまでにしましょうか。」
悠「センパイそれはカッコ悪過ぎっすよ?」
佑美「なぁちゃん!!」


そこに理央、悠、佑美の3人が現れた。


「吉沢?それに生徒会の渡邊に若月先生まで。何だよ、お前ら。振られた俺をバカにしに来たのか?」
悠「振られた事自体はバカにするつもりはなかったんすけどね。」
理央「その後力尽くでっていうのは、マズイでしょう。」
佑美「現場の写メ撮ったから君にはそれ相応の処分を受けてもらうことになるよ?」
「うるせえ!!」


3人の方へ殴りかかって来た男子生徒。


しかし、


佑美「ふっ!!」
「ぐあっ!?」


佑美によって床に倒された。


悠「はい、残念でした。」
理央「さ、職員室行きましょうか。もう生徒会で処理する案件じゃなくなったし。」


2人が両腕を押さえながら起き上がらせる。


佑美「2人ともありがとうね。」
理央「あれって合気道ですよね。俺達必要でした?若月先生が居れば充分だったんじゃ…。」
佑美「私も女子だもん。怖かったんだよ?」
悠「はあ。ま、そういう事にしておきますか。」
佑美「じゃあよろしくね?」


2人が男子生徒を連れて屋上を出る。


佑美「なぁちゃん!」


佑美が七瀬に駆け寄ると、


七瀬「若月…。」


七瀬は佑美に抱きつき涙を流す。


佑美「怖かったよね。」
七瀬「うん…。」



暫くして七瀬が落ち着き顔を上げる。


七瀬「ホンマありがとう、若月。」
佑美「ううん。さ、職員室に戻ろうか。さっきの彼は設楽先生が生徒指導室に連れて行ってみっちりしぼるだろうから。」
七瀬「う、うん。でももう少し待ってくれへん?」
佑美「どうしたの?」
七瀬「足に力入らへんねん。」
佑美「そっか…。」


そこへ、


理央「西野先生、若月先生。教頭先生が職員室に戻るようにって。」
佑美「あ、理央君丁度良かった。」


理央が戻って来た。


理央「どうかしました?」
佑美「なぁちゃん、あ、西野先生が歩けないって言うからおんぶして貰って良いかな?」
七瀬「え、ちょ、若月?」
佑美「それともお姫様抱っこが良かった?」
七瀬「何言うてんの?もう。」
佑美「て事で、理央君よろしくね?」
理央「それは良いですけど。じゃあ西野先生乗って下さい。」


七瀬に背中を向ける理央。


七瀬「お、お願いします…。」


おずおずと背中に乗る七瀬。


理央「行きますよ?」
七瀬「…なあ、渡邊君。」
理央「何ですか?」
七瀬「…なな、重くない?」
理央「むしろ軽過ぎてビビってます。ちゃんと食べてますか?」
佑美「食べるの好きな割に量は食べないからね、なぁちゃん。それと、どう?学園1のモテ男君におんぶされてる感想は?」
七瀬「ちょっと、若月?」


理央の背中で慌てる七瀬。


理央「どちらかと言うと俺が照れ臭いんですけど。それにこんなの他の男子生徒に見つかったら何言われるか。」
佑美「あー(そうだよ)ね。学園祭裏メニューの『彼女にしたい女性教師No.1』だもんね。」
理央「そうですよ。」
七瀬「…もう。でも、渡邊君は醸し出す雰囲気がエエな。なんか落ち着くわ。」


そう言って先程より理央に密着する七瀬。


佑美「おお〜、やる〜。」
理央「若月先生、茶化さないで下さい。」


七瀬『…生徒も悪く無いかもな。』





その後、その様子を見つけた理佐達に理央は問い詰められてタジタジだったとさ。


■筆者メッセージ
西野さん最後の紅白終わったみたいですね。

残念ながら見られない環境にいるもので。

そして若月さんはプロフィールが公式から削除。

そんなお二人の特別編書いてみました。

出来はそんなに良くないかもしれませんけど。

最近『R's』の後どうしようか考えているんですけど、また乃木坂さんで書きたいなとか思ってて。

まあまだ先だし、そもそもちゃんと完結してないし。
ヒロインも休載のまま放置してるし。
ま、頑張りまーす。
hinata ( 2018/12/31(月) 23:06 )