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第8章
第7話
朝食の時間


悠「…そんなに食って大丈夫か?」
健斗「凄い食欲だなぁ。俺らより食うとか半端ないな。」
理央「…腹減ったし、一日中動き回るし。」


バイキング形式の朝食でおかずを山の様に盛った皿を平らげる俺。


その様子を遠目から不思議そうに見る彼女達。


理佐「朝はちゃんと食べるタイプだけど、ちょっとおかしいよね。」
愛佳「ね、どっちかって言うとちゃんと節制して食べてるよね、いつも。」
ねる「…何か体力回復しようとしとるんじゃなか?」
美愉「…疲れる様な事…、ん?」
愛佳「どうかした?鈴本。」


美愉がある方向を指差す。


美愉「…何かあの2人スゴく機嫌良さそうじゃない?」


指差したその先には、ニコニコと朝食を楽しんでいるゆいちゃんずが。


愛佳が2人の席に近づき、


愛佳「ねえ。」
佑唯「あ、愛佳。どうかした?」
愛佳「昨日の夜、何かした?」
由依「え?…ううん、何も。先生の見回りの時間まで2人で私の部屋にいたけど。」
佑唯「うんうん、何もないよ〜。」


そこに、


ねる「理央がちょっとおかしかよ。」
由依「…そうなの?」
佑唯「ホントだ。凄い勢いでご飯食べてる。ゆいぽん、ちょっと行って来よう?」
由依「そうだね。」


何食わぬ顔で席を立つ2人に、


理佐「…怪しい。」
美愉「…夜中に忍び込んだんじゃ…。」
愛佳「…ありえる。」
ねる「…むう。」


疑いの目を向けていた。




佑唯「おはよ〜理央君。」
由依「渡邉君、おはよう。」
理央「ん、…ふう。おはよう2人とも。」
由依「…いっぱい食べてるね。」
理央「ああ、腹減ってて。それにバイキングってテンション上がっていつもより余計に食べたくなるし。」
佑唯「お腹壊したりしないでよ?」
理央「うん。ありがと、心配してくれて。」
由依「桐谷君、今日はヨロシクね。」
佑唯「そうだ、ヨロシク〜。」
健斗「思いっきりついでな感じだけどな。」
悠「仕方ないさ。」


やれやれといった顔の2人。


理央「悠は今日、誰の班?」
悠「ああ、守屋達の。」
理央「理佐と愛佳、それと齊藤京子だな。…あいつら頼むな。」
悠「任された。」
理央「桐谷もゆいちゃんずと土生、小池の事頼む。」
健斗「それは分かってるけど、俺らってもしかしてボディガード代りなのかな。」
悠「かもな。この学園の女子はどう考えても声掛けられまくるだろうしな。」
理央「確かに。2人も気を付けなよ。」


ゆいちゃんずの方を向いてそう言うと、


「「はーい。」」


返事をして、再び自分達の席に戻っていった。


理央「さて、お代わりっと。」
悠「…まだ食えるのか。」
健斗「……マジ?」










冬「ちょっと、ねる!」
ねる「何?ふーちゃん。」
梨香「いくら何でも腕組んで歩くのは…。」
虹「そうだよね、さすがに…。」


自由行動が始まり、各班バラバラになった瞬間に俺の腕に絡んできたねる。


さすがに拒否も出来ないし、取りあえずそのまま歩いていたのだが、やはり他のメンバーに指摘された。


ねる「…むう、…理央はこういうのイヤ?」


上目遣いで俺に訴えるねる。


理央「…イヤとかでは全くないけど、一応班行動だし、みんなの事も考えようか。」
ねる「…分かった。」


渋々、腕を離す。
俺は彼女の頭に手を乗せ、ゆっくりと撫でる。


理央「うん、良い子だ。」
ねる「えへへ〜。」


尖っていた口も元に戻り、機嫌は良くなったようだ。

それを見ていた冬優花が、


冬「あかねんも言ってたけど、理央が頭撫でるとみんな落ち着くし、機嫌良くなるよね。」
理央「そうかな?」
虹「ね、渡邉君。」
理央「何?石森。」
虹「私にもやってみて?頭ポンポン。」


俺の前に立つ石森。


理央「ああ、はい。じゃあ…。」


彼女の頭をポンポンする。
何となく顔が赤い。


虹「…ああ、これはヤバいね。」
冬「何がヤバいの?」
虹「やってもらったら分かるって。ふーちゃんもやってもらいなよ。」
冬「じゃあ理央、良い?」
理央「う、うん。」


そうして冬優花、さらに尾関もその流れで頭ポンポンをする事に。


冬「これは確かに…ヤバい。」
梨香「ホントだ…。ねる達の気持ちが分かったかも。」


それぞれ感想を言っているが、そんなに良いのかな?


そんな事を考えていると、隣から黒いオーラを感じる。


ゆっくりと視線を動かすと、ねるが再び不機嫌な顔をしている。


理央「…あの〜、ねるさん?」
ねる「…理央は誰にでもそういう事すると?」
理央「え?まあ、頼まれたし。クラスの子達とちゃんと仲良くしたいし。来年も同じクラスなんだから。」
ねる「…ふぅ〜ん。」


まだ不満な様子。


俺は彼女の頭を再び撫でながら、


理央「ねるにそういう顔は似合わないぞ。笑顔のねるが好きだけどなぁ、俺は。」
ねる「っ…ズルか。そんな事言われたらもう怒れんもん。」


頬を赤らめる彼女の態度が軟化し、一安心。
一方で、


冬「…やっぱ理央はスゴイわ。」
梨香「…あんな台詞言えないよ、普通。」
虹「…そりゃあ好きになるはずだよね。」



hinata ( 2018/08/31(金) 20:35 )