ゆいぽんの場合2
彼の家での初めての行為。
もの凄く痛くて涙が出た。
だけど、とても幸せな時間だった。
2度の行為で私は身も心も満たされて、彼の腕に抱きついて眠りにつく。
好きな人の温もりを感じながら過ごすって、こんなに満たされた気持ちになるんだって初めて知った。
翌日、彼に5時半過ぎに起こされる。
理央「由依、起きて。」
由依「…ん、あ、お、おはよう渡邉君。はっ!?キャッ、」
生まれたままの姿だった私は慌ててシーツでカラダを隠す。
理央「昨日隅々まで見てるんだけど?」
由依「…夜と朝じゃあ状況が違うじゃん…もう。」
理央「はいはい、ごめんな。俺、先に下に降りてシャワー浴びて朝飯の支度するから。」
由依「う、うん。服着たら私も下りるね。」
理央「うん。」
彼が朝食の支度をしている間にシャワーを借り、身支度を整える。
「「いただきまーす。」」
彼の作った朝食を食べながら、
理央「食べて歯を磨いたら家に戻って仲直りしような。」
由依「う、うん。」
返事はしたものの、家を飛び出した挙句、男の子の、しかも好きな人と一晩過ごしている事で気後れしてしまう。
彼の家を出て自宅に向かうけど、足取りは重い。
お父さんはいるのかな…。お母さんになんて言おう…。色んな事を考えていると、必然的に無口になる。
理央「由依?」
由依「ん?あ、何渡邉君。」
理央「どうしたの?さっきから一言も喋らないし。」
由依「え、あ、いや何でもないよ。」
理央「そう?」
そして、もうすぐ自宅という所で私の足は止まった。
理央「どうしたの?」
由依「………。」
私が何も喋らないので、肩に手を乗せて彼が言う。
理央「ほら由依。」
由依「…やっぱり無理。」
理央「昨日約束したでしょ?」
由依「…したけど…無理なものは無理なの!」
理央「………。」
目前で駄々をこねてしまった。
渡邉君、どう思うかな…。でも、不安で足が動かない。
彼を見ると眉を八の字にして困った様子。
そこへ、
佑唯「あー!!ゆいぽん!」
由依「え?ず、ずーみん。」
ずーみんがこちらに走ってくる。
そしてそのまま私に抱きつく。
佑唯「良かった〜。ゆいぽんのお母さんから家出したって連絡あったから、昨日から何回も電話もLINEもしたのに返事ないし。」
由依「…ゴメンねずーみん。」
佑唯「理央君がここにいるって事は…もしかして?」
ジト目を私達に向けるずーみん。
思わず顔をそらすと、
佑唯「ゆいぽんズル〜い。理央君の家にお泊まりしたんでしょ?」
由依「…え?あ、えっと、…うん。」
佑唯「…いいなぁ、じゃなくて!ね、ゆいぽんご両親と仲直りしようよ?」
理央「そうそう、佑唯も説得してくれない?さっきから渋っててさ。」
由依「…だって、初めて家飛び出して…しかも男の子の家にお泊まりしたなんてバレたら、もっと大事になるもん。」
佑唯「でもさ、理央君の家なら理佐もいるでしょ?理央君が連れて行って、理佐の部屋に泊めて貰ったことにすればイイじゃん。」
理央「おお、佑唯賢い。」
佑唯「何かバカにしてるでしょ〜?」
理央「あ、ゴメンゴメン。」
彼に頭を撫でて貰ってご機嫌なずーみんを見て、少しジェラシーを感じた。
由依「………。」
理央「そんな顔するなよ、ぽん。」
由依「ちょっ、ん〜。」
彼に両手で頬を抑えられる。とても優しい顔で。
理央「て、事で行くぞ。もしこれでも行かないって言うなら…、…由依とデートもエッチもしないから。」
それは絶対イヤ。
由依「…行く。」
佑唯「ホント?私も付いて行くから、じゃあ行こう?」
ずーみんと一緒に家に向かう。
両親に謝ると、2人も謝罪の言葉をくれた。
その後、何処にいたか尋ねられたけれどさっき考えた通り答えて納得して貰った。
今度はずーみんと2人で彼の家に遊びに行く約束も出来て、色々あったけど彼に近付けた時間だったと思う。
…校門で会った理佐や愛佳、平手ちゃんの目は凄く恐かったけど。