第4話
茜「まだ固形のもの食べられないの?」
理央「ああ、まだ1週間だし。大体2週間は様子見ろって言われたから。」
冬「そっか〜。治ったら美味しいもの食べようか。ゆっかーの奢りで。」
久「そうね、良いアイデア。」
友香「もう2人とも。そうですね、生徒会のメンバーで快気祝い致しましょう。」
葵「やった〜。何にします?」
優佳「でも理央先輩の身体のこと考えたら胃に優しい食べ物じゃないですか?」
生徒会室で打ち合わせ兼、昼食。
俺は相変わらず、弁当はウィ○ーインゼリー生活。
薬も欠かさず飲んでいる。
理央「でも、治ったら肉食いたいですよね。」
冬「おっ、肉食発言。」
理央「あのなぁ。食べ盛りの高2男子が肉食えないとかキツいんだぞ。」
茜「やっぱり肉食べないと元気でないか〜。最近大人しいもんね理央。」
理央「そうかな?」
冬「教室でも寄って来る子達を今までなら受け入れてたけど、いなすと言うか、かわす感じだもんね。」
久「ゆっかーもそう?」
友香「えっ?あ、イヤ、その〜…はい。」
顔を赤くしながら小さな声で返事をした友香さん。
葵「会長も最近は理央先輩好きを隠さなくなりましたね。」
優佳「そんな隠す事でもないし、そもそも隠せてなかったでしょ、葵ちゃん。」
久「あはは、影ちゃんの言う通りだね。」
友香「ちょっと〜みんなやめて〜。」
友香さんがそう言うと柔らかい雰囲気の笑いに包まれる生徒会室。
茜「でも、やっぱり食事の影響は大きいのかな?」
冬「そりゃあお粥とゼリー生活だもんね。頬もこけたし、元々細いのに一段と細くなったし。」
心配そうな顔を向けるメンバー。
理央「もう2キロくらい体重落ちたかな。あと1週間もしたら4、5キロ落ちそう。」
久「筋力も落ちるから、学園祭の時にゆっかーをお姫様抱っこ出来なくなるんじゃ。」
理央「ああ、…ちょっと試してみますか?」
友香「大丈夫ですか?」
理央「そのために試すんですよ?」
そう言って友香さんの所へ行き、彼女を立ち上がらせる。
理央「じゃあ失礼しますね。」
友香「は、はい。」
なんとか抱き上げたが、やはり筋力が落ちているようで以前と違ってキツかった。
友香さんを降ろし、
理央「…やっぱり筋力落ちてますね。」
冬「確かに顔に余裕がなかったもんね。」
茜「そうだね。治ったら筋トレしないとダメじゃない?付き合おうか、私?」
理央「…軍曹と筋トレはちょっと…。」
そう言うとみんなが爆笑した。
冬「そうだよ、あかねんとじゃあハード過ぎるって。」
茜「そんなに厳しくしないよー?」
理央「イヤイヤ、最初だけだって。結局ノッてきたらハードになるに決まってる。」
葵「1年生でも有名ですよ、あかねんの軍曹話。」
優佳「2ーBの体育祭での動きが最早軍隊だって。練習の時にはムチを持って叱咤激励してたって噂話も…。」
茜「持ってない〜。いくらなんでも話が誇張され過ぎでしょ?」
友香「それが事実なら色々問題ですし。」
久「まあキャラが付くのは悪くないでしょ?」
茜「そんなキャライヤ〜。」
理央「ははは、大丈夫だよ。茜が良い奴なのはクラスのみんなもこのメンバーも知ってるんだから。変な噂は気にしない、気にしない。」
茜「理央〜。」
理央「はい、よしよし。」
冗談ぽく抱きついてきた茜の頭を撫でるが、その様子を見て他のメンバーは慌てて友香さんを見た。
友香「どうかされました?」
久「…ゆっかーが黒くない。」
冬「…ホントだ。」
葵「…いつもなら間違いなく黒いのに。」
優佳「…あれは逆に怖くないですか?」
みんなが友香さんの様子に驚いていたが、
理央「友香さんは大人ですから、茜のおふざけに目くじらは立てないですよ、ね?」
友香「もちろんです。理央が人気者なのを分かった上で…その、…す、好きですから。」
「「「「おお〜」」」」
顔が真っ赤になる友香さん。顔を両手で隠し、
友香「ああっ、恥ずかしい!」
久「ふふ、やっとみんなの前で公表したね。これで思う存分背中を押せるよ私達も。」
冬「ところであかねん。いつまで理央に抱きついてるの?」
みんなの視線がこちらに向けられた。
茜「えっ、あ、いや〜。理央に頭撫でられると落ち着くんだよね。スゴく優しい手つきなの。だからつい…。」
葵「あかねんズル〜い。」
優佳「そうです、ズルいですよ。理央先輩はみんなのものです!」
理央「ん?葵ちゃん、優佳ちゃん?」
そう言うと、2人も顔を赤くした。
久「まさか、2人とも?」
葵「違います、違います!優しいお兄ちゃん的なやつです。」
優佳「そうです!理央先輩に頭撫でられたいだけです!」
いつもより大きな声を出す2人。
理央「はは、葵ちゃん、優佳ちゃん、おいで。」
葵「は〜い。」
優佳「はい。」
2人が俺のところに寄って来ると、頭を撫でる。
理央「俺も、2人みたいな可愛い妹が欲しかったし。ちゃんと言ったらこのくらいならいくらでもするから、ね?」
「「はい!」」
満足そうな2人を見て一安心する。
冬「ホント、2人には甘いよね。理央は。」
茜「そうそう、私にはイジって来るのに。」
久「まあまあ、来年私とゆっかーが抜けて、この5人プラスαの生徒会なんだから、仲良しは良いことだよ。」
友香「ええ、2人も理央の言う事聞くでしょうし、安心です。」
冬「でも、もうこの体勢も半年か…寂しいね。」
茜「…うん。」
冬優花の一言でみんながはっとして、一様に寂しそうな顔をする。
理央「ほらしんみりしない。まだ行事もあるし友香さん、久美さんと一緒にやらなきゃならない事が沢山あるんだから。…でもこういう時間も大事にしようか。」
葵「はい。」
優佳「理央先輩の言う通りですね。」
冬「なんかゴメン。変な事言って。」
茜「ふーちゃん悪くないよ。理央が言った通りこれからの活動の時間を大切にしようよ。」
そんな後輩の姿を見て、
久「…やっぱりこの子達で良かったね、ゆっかー。」
友香「…ええ、後輩の成長を感じられてこれほど嬉しい事はありません。みんな、学園祭頑張って素晴らしい催しに致しましょう。」
「「「「「「はい!」」」」」」
生徒会、入って良かった。