9話
授業中、やはり居眠りしている理佐。
理央「…テスト前、また一緒に徹夜しないとな。」
そう呟きながら、ペンを走らせる。
すると、
悠「理佐、今日はほとんど寝てるな。」
悠が振り返り話しかけてくる。
理央「…ああ、なんか夜寝られなかったらしい。」
悠「ふうん。お前と一緒のベッドに入ったから興奮して寝られなかったとか?」
理央「…アホか。そんな訳ないだろ。それに興奮して寝られないのは男の方だろ、普通。」
悠「いや、お前らって仲良いからよ、そんな事位してそうだなって、痛え!!」
教壇の方に視線を向けると、化学担当の白石先生が恐ろしい表情を見せていた。
そして、床には真っ二つに折れたチョークが転がっている。
白「吉沢君、私の授業はそんなにつまらないかしら?」
悠「い、いえ、とんでもありません。」
白「罰として放課後、化学実験室の掃除。」
悠「ええ?」
白「あん?」
悠「是非やらせて下さい!!」
白「…じゃあ授業再開しまーす。」
いつもの優しい表情に戻る白石先生。
これが有名な『黒石さん化』か…、
美人が怒ると怖いってこういう事なんだな…。
友の身を以ての教えでまた一つ大人になれた気がした。
てか、この状況でも寝てる理佐って…。
愛「理佐、一日中寝てたね。」
理佐「うん。やっとスッキリした。」
愛「昨日なんかあった?」
理佐「…別に。」
愛「理央とイヤラシイ事したとか?」
理佐「する訳ないじゃん!」
いつもより大きな声を出したので驚く愛佳。
愛「冗談だって、急に大きな声出さないでよ、ビックリするから。」
理佐「愛佳が変な事言うからでしょ。…もう帰ろう。」
愛「あ、うん。あれ理央は?」
理佐「今日もバイト。」
愛「そっか、なら今日も寄って行かない?マーブル。」
理佐「ん〜、別にいいけど何で?」
愛「家に帰ってから宿題やるの面倒だし、ついでに理央に教えてもらおうかなって。」
理佐「さっさと帰れって言われないかな。」
愛「へーき、へーき。理央優しいし、なんだかんだ言ってもウチらの事好きじゃん?」
愛佳はニコニコしながらそう言った。
理佐「そう…かな?」
愛「そりゃそうでしょ。…え、私の勘違い?」
私の反応に急に不安そうになる愛佳。
そこに理央がやって来る。
理央「もう大丈夫か、理佐。」
理佐「うん、ほとんど寝てたから。」
理央「全く…。帰ったらノート貸してやるからちゃんと写しておけよ。」
理佐「うん、ありがと。」
愛「ねえ理央、今日もマーブル行っても大丈夫?」
理央「別にいいんじゃない、どうした?」
愛「宿題、理佐と終わらせておこうかなって、わからないところ理央にも聞けるし。」
理央「今日は莉菜さんもいるみたいだから昨日よりは忙しくないだろうし、いいよ。理佐もその時にノートも写せばいいしな。」
愛「はい決まり。じゃ行こう。ね、だから言ったじゃん理佐。」
理佐「…うん。」
理央「何が?」
愛「何でもな〜い。ほらさっさと行く。」
愛佳が俺達の背中を押しながら教室を出た。