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第1章
7話


理佐side



部屋に戻ると、ベッドにあったクッションを抱き締め、抑えきれない嬉しさで緩んだ顔を隠す。


理佐「…2人で出掛けるなんて久しぶり…。どこ行こうかな。」


日曜日のことを考えると、今から楽しみで仕方ない。








あれこれと行きたい所や、したい事を考えていたが、徐々に冷静になってきてふと思った。





理佐「ちょっとやり過ぎかも…最近。理央がなんだかんだ私に優しいことに甘え過ぎたかな。」



そんなネガティブな思考が頭の中で擡げ始めると、マイナスな事しか思いつかなくなる。






『もう理佐のワガママには付き合いきれない。』

『俺、てちと付き合うことにしたからもう理佐と登下校は出来ない。』

『俺達血の繋がった姉弟なんだからこんなに一緒にいるの変だろ?』

『もう俺に構わないでくれ。』

『バイバイ、理佐。』






そんな事になったら…言われてもいない言葉が頭に浮かぶのを必死に振り払う。












私は理央に負い目を感じていた。




…あの時、ひどく傷付いてボロボロになっていた理央の心に寄り添うフリをして、つけ込んだんだ。







私が理央を縛っているのかもしれない、そんな風に考え始めると、さっきまであれほど楽しみだった日曜のデートがひどく憂鬱な事に思えてしまう。



理佐「あー!!」


ベッドに寝転がり顔にクッションを当てながら、この憂鬱な気持ちを振り払うように大きな声を出した。







〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜







理佐「…はあ。」


朝を迎えたが、目を瞑るとあの時の出来事が脳裏に浮かび、ほとんど眠れなかった。



起き上がり机の上の鏡を見ると、目の下のクマがひどく、溜め息しか出なかった。


そんな時、


理央「おーい、理佐起きてるか?」


ドアの向こうから理央の声が聞こえる。


理佐「…うん、起きてる。」
理央「開けてもいいか?」
理佐「う、うん。」
理央「入るぞ、ってどうしたそのクマ?」


私の顔を見るなり、すぐにクマのことを指摘する理央。


理佐「…ちょっと寝られなくて。」
理央「体調大丈夫か?なんなら休むか学校?」
理佐「ううん、行く。てかどうしたの?いつも朝声掛けたりしないのに。」
理央「昨日寝坊したからな、念のためだよ。」
理佐「…そっか。」
理央「…今日は自転車で行くか。愛佳には俺が連絡しておく。…後ろに乗せてやるから、もう少し休んどけ。」
理佐「あ、うん。…ありがと理央。」


右手をヒラヒラさせながら部屋を出る理央。




考え過ぎだったかな…。












理央「ちゃんと捕まっておけよ。」
理佐「…うん。」


理央の腰に腕を回し、背中に右頬をつける。




…血の繋がった双子の弟に抱いているこの感情と、私は上手く折り合いをつけることができるのだろうか。



みんなが『恋』と呼んでいるこの感情と…。


■筆者メッセージ
本日2度目の更新です。

今は結構創作意欲が高めです。

hinataです。

まるで処女作を書いていた時のような気持ちです。

何でもそうですが、モチベーションは大切だとよく分かります。

常に継続してアップされてる作者さんに尊敬の念すら持ってしまいます。

さて、引き続きストック作りを頑張ろう。


ではまた。
hinata ( 2017/12/26(火) 21:26 )