16話
理央「ふぁ…。」
月曜日、いつものように3人で登校する。
愛「眠そうだね理央。」
理央「ああ、昨日は一日中歩いたからな。」
理佐「うん。でも楽しかった。」
日曜日は理佐と2人で某夢の国で1日を過ごした。
理佐にしては珍しく、ミ◯ーのカチューシャをつけてはしゃいだりしていた。
あの日以来理佐は機嫌が良く、勉強を口実に家にいる時はほとんど俺の部屋で過ごすようになっていた。
流石にこの間みたいな事はしていない。
その代わり、常に身体が触れる距離だけど。
愛「え、何?2人で遊びに行ったの?」
理央「そうだけど。」
愛「何処に?」
理央「ディ◯ニー。」
愛「ねえ、何で私は誘ってくれなかったの?」
理佐「…たまに理央と2人で出掛けたかったし。」
理央「まあ、約束だったし。」
愛「…イイなぁ…理佐ずるい。」
明らかに不満な顔をする愛佳。そして、
愛「理央。私ともデートして。」
理央「え?」
愛「いいじゃん、してよ。…理佐とはしても私とは出来ないの?」
理央「…愛佳。」
真っ直ぐな目で俺を見る愛佳に、到底ダメとは言えなかった。
理央「…今度の土曜日で良いか?」
愛「うん!…ありがと、理央。」
理央「ああ、どういたしまして。」
普段と少し違う雰囲気の愛佳にドキッとさせられてしまった。
ふと、理佐を見ると口を尖らせていた。
一方、愛佳はすこぶるご機嫌の様子。
愛「土曜日どこ行こうかな〜。」
理佐「…理央、私も一緒に行っていい?」
愛「は?何で理佐も来るの?2人で行くに決まってんじゃん。」
理佐「別にいいでしょ?3人の方が楽しいし。」
愛「理佐は昨日2人で行ったんだから、今度は私の番でいいじゃん。」
理佐「順番とか関係ないし。」
珍しく2人の声が大きくなり始めたので、間に入る。
理央「そんなケンカみたいになるんだったら2人とは出掛けない。…悪いけど土曜日の件もなかった事に…。」
愛「それはダメ!」
理佐「絶対イヤ。」
理央「…じゃあ理佐、今回は留守番な。」
理佐の頭に手を乗せそう言うと、
理佐「…分かった。」
渋々了承した。…後でフォローしないとな。
そんなこと考えながら、頭を撫でる。
理央「うん、いい子だ。」
理佐「子ども扱いするな。」
理央「ああゴメンゴメン。じゃ愛佳、行きたい所考えておいて。」
愛「はーい。決めたら教える。」
理央「ああ。ヤバい、また澤部に怒られるぞ。急ごう。」
愛「ホントだ。」
理佐「うん。」
学園に着くと玄関には、守屋が立っていた。
茜「おはよう、待ってたよ渡邉君。」
愛「守屋?どうしたの?」
茜「愛佳も理佐もおはよう。渡邉君に用事。」
理佐「…生徒会の事?」
茜「そう。金曜日の日に、会長から全役員に報告があって。」
理央「…今日の昼休み、生徒会室に行こうと思ってた。話はその時で良いか?」
茜「分かった。今日は役員全員揃ってるから、待ってるね。」
颯爽と教室に歩き出す守屋。
心配そうな表情の愛佳が口を開いた。
愛「まさか役員受けるわけじゃないよね?」
理佐「………。」
隣の理佐にも話していないので、不安そうな様子で俺の方を見ている。
理央「…ギリギリまで考えて返事してくる。教室行くぞ。」
愛「…うん。」
理佐「…理央。」
理央「何?」
理佐「どっちを選んでも、私は理央を応援するから。」
理央「…ありがとう。」
愛「………。」
愛佳は複雑そうな表情で俺達のやり取りを見ていた…。