No.2
あれから数日、久しぶりのオフで未央奈と街をブラブラしていると、一台の車がすぐ横に止まる。
助手席側の窓が開き、声をかけられた。
シ「星野さん、堀さん、こんにちは。」
み「神代さん!…あ、こ、こんにちは。」
未「あれシンジさんどうしたんですか?」
シ「いや、私も休みだったので買い物に行くところだったんです。お二人の姿が見えたのでつい声をかけてしまいました。」
み「そうだったんですか。…神代さんの車大きいですね。」
未「だね〜。」
シ「ええ、元々北海道だったので。あちらではこういう方が便利なんです。」
未「どこに行くんですか?」
シ「ええ、家電量販店に行くところです。長く使っていたパソコンが壊れてしまって。」
未「私達、何しようかって話してたところなのでシンジさんについて行っても良いですか?みなみも行きたいよね?」
未央奈の突然の提案にドキッとしたけど、
み「みなみも行きたいです。…ダメですか?」
そう言うと少し驚いた表情だったけど、
シ「分かりました。では乗って下さい。」
そう言ってドアを開けてくれた。
未央奈と二人で2列目に乗り込み、シートベルトを着けると、
未「さあしゅっぱ〜つ。」
シ「はい。では車出しますね。」
み「よろしくお願いします。…シンジさん。」
シ「え?」
み「あ、…もしかしてイヤでした?名前で呼ばれるの。」
少しだけ勇気を出して彼を名前で呼んでみたんだけど、ダメだったのかな?
もしかして未央奈は特別だったのかな?
色んなコトが頭を駆け巡っていると、
シ「いえ、それで結構ですよ。星野さんに気を許してもらえたなら私も嬉しいです。」
ルームミラー越しに見えた彼の優しい笑顔。
その表情にキュンとしてしまった私はきっと恋の熱病にかかってしまったんだろう。
シ「すみません、私の買い物に付き合わせてしまって。」
未「いえ、私達も楽しかったです。ね?」
み「うん、みなみも楽しかったです。…あのシンジさん、この後って何か予定ありますか?」
シ「いえ、後は夕食の材料を買って帰るくらいですね。」
み「じゃあ、シンジさんの家に行ってみたいです。」
シ「ええっ?」
未「みなみナイス!私も行きたいです、いいですよね?」
目を輝かせてノリノリの未央奈。
そんな私達のお願いに少し唸っているシンジさん。
み「やっぱり迷惑ですよね…。」
シ「いえ、そんな事は…。分かりました。でも何もない所ですから、期待しないで下さいね。」
未「やったね、みなみ。」
み「うん、シンジさんありがとうございます。…シンジさんはみなみみたいなワガママ言う子はイヤですか?」
そう彼に問いかけると、
シ「いえ、むしろ距離感が縮んだと思えば嬉しいくらいですよ。私は一応10代メンバー担当なので。中々星野さんとお話しする機会も少なかったですし、今日お二人に声をかけてよかったです。」
未「…みなみ、よかったね?」
み「…うん。」
そっと耳元で囁く未央奈に返事をする。
走り出した車のシートに身を預けると、何だか彼の優しい匂いがした。
その香りをゆっくりと吸い込むと私も彼の様に優しい気持ちになれた気がした…。