No.2
最近、みんなの体調がとても良い。
ひよたんや芽実さんが少し体調を崩しかけた時期もあったけど、すぐに回復してグループの活動を順調にこなしていた。
今日もライブに20人全員で参加。
みんなキレッキレのパフォーマンスが出来たと自画自賛している。
久美「みんなお疲れ様〜。今日は凄く良かったってスタッフさんも褒めてくれてたよ。」
彩花「今日は振りも間違えなかったしバッチリだったね。」
史帆「またやったら若林さんにイジられちゃうもんね〜。ししは羨ましいけど。」
彩花「ちょっと!!」
美玖「菜緒もお疲れ様。」
菜緒「うん、お疲れ〜。」
美穂「楽しかったねー。」
みんな汗を拭き、今日の感想をそれぞれ話していると、
慎「入っても大丈夫ですかー!?」
ドアの向こうから慎さんの声が聞こえた。
京子「うん、大丈夫〜。」
久美「入っていいよー!」
京子さんと久美さんが返事をすると、
慎「失礼しまーす!」
類「…失礼します。」
平沢兄弟が入ってくる。
芽実「慎さん、類さん、どうしたにゃん?」
芽実さんが通常営業で話しかけると、
慎「僕らにまでそれはいいですよ、芽実さん。えっと、」
類「………。」
類さんが無言で慎さんにボックスを渡す。
慎「彩花さん。」
彩花「何ですか?」
慎「ライブで右足痛めましたね。とりあえず応急処置しますから椅子に座って下さい。」
芽依「…足痛めたん?」
彩花「あーでも全然、」
慎「すぐに全握のミニライブがありますからちゃんとケアしておきましょう?」
彩花「は、はい。」
おずおずと椅子に座り、慎さんに処置される彩花さん。
その様子を見ていると、
類「…小坂さん。」
菜緒「はっ、はい!」
突然類さんに話しかけられた。
珍しく声を掛けられ、ビクッとなりながら返事をすると、
類「…これ飲んで。」
菜緒「え?」
類「…少し鼻声だ。漢方だから少し苦いが、今のうちならすぐ良くなる。」
菜緒「あ、ありがとうございます。」
美穂「風邪気味だったの?」
菜緒「朝起きたらちょっと…。」
メンバーにも気付かれてなかったんだけど…
美穂とそんな話をしているうちに類さんは私達のところから離れ、今度は紗理菜さんのところへ。
少し話をすると、紗理菜さんを連れ楽屋を出て行った。
後から聞くと、身体の張りが出ていてダンスのキレが落ちているからと、事前に呼んでいたトレーナーさんにマッサージをしてもらったそう。
紗理菜「ちゃんと声聞いたの久しぶりだったけど、素敵な声してるよね〜類さん。」
そんな紗理菜さんの言葉を聞いて、ドキッととする。
すると、
史帆「そうそう、たま〜に話してくれるよ〜類さん。ししも渋くてカッコいいと思う〜。あの声で囁かれてみたいな〜。」
久美「なんて言って欲しいの?」
史帆「『史帆、いいオンナになったな』とか〜。」
芽実「絶対言ってくれないじゃん。ぶりっ子して、『どう?』って聞いても、顔色一つ変えないで『柿崎さんはそれでいいんじゃないですか』って、それだけ〜?って思う!」
愛萌「そうですよね〜。私も握手会の私服見てもらったんですけど、『そういうのは慎の方が詳しいので、慎に聞いてください』ですよ〜。ま、全然釣れないのも逆に…。」
菜緒「………。」
あれ?みんな最初は慎さん派だったのに...
史帆「ん?こさかなどうかした?難しい顔してるよ?」
菜緒「...いえ、何でもないです。ウチ、ちょっと...」
楽屋をスッと出て1人になれる場所を探す。
私が楽屋を出た後、
史帆「どうしたのかな〜?」
美穂「何か最近考え事してることが多いんですよね。」
久美「悩み事ならいつでも相談乗るんだけど...。」
ひなの「...菜緒さん、よく類さんの事を目で追ってますよね。」
「「「ええっ!?」」」
そんな話が楽屋でされてると思っていない私は、目に入った自販機の隣にあったベンチに座る。
俯き加減でぼんやりしていると、
類「...どうかしたか?」
菜緒「は、はいっ!?」
突然声を掛けられ、慌てて返事をすると
類「...どうした、らしくないな。」
そう言っていつもより穏やか...に見える表情の類さんが立っていた。
でも、類さんの放った言葉が気になったので少し口を尖らせながら聞き返す。
菜緒「…らしくないって、類さんにはウチがどう見えてるんですか?」
そう言うと、彼は自販機の前に立ち
類「…お茶で良いか?」
菜緒「は、はい。」
音を立て出てきたお茶を私に手渡すと、私の隣に腰を下ろした。
そして…