5月7日…学校
長かったゴールデンウイークも終わり、再び学校が始まった。
いつもの朝、いつもの道。いつもの電車。
ただ今までと違うのは、『彩希に会いたい』という気持ち。
…今朝は会えなかった。
LINEで、
『彩希ちゃん今どこにいる?』
と聞いても既読が付かない。
少し寂しく感じながら学校に向かった。
…授業中、窓の外を眺めるとバイクの集団が学校の周りをうろうろしているのが見えた。
クラス全員が『マンガかよ』とツッコミを入れたくなる状況だったが、何事も無く授業は進んだ。
入学から1カ月ほどたち、段々とクラスの様子も分かってきた。
よくある1軍2軍とかも。まぁそういうのはあんまり興味ないから…おとなしい友達と本読んだりして過ごしてるんだけど笑
とにかく…1軍の女子達は賑やかなもんだ。
あの子たちと仲良くなることはないんだろうな…と思いつつ、私には彩希がいる、と自信をもって学校生活を送るようになった。
そんな自信がどこから湧いてくるのかはよくわからなかったが。
…
帰り道、駅から自宅に向かって歩いていると声を掛けられた。
振り返ると見知らぬ女性が立っていた。私より…ちょっと上くらい…かな?
?:ねぇお姉さん…一瞬だけ聞きたいことあるんだけど…いい?
奈:どうしました?
?:この子…知ってる?知ってるか知らないか。それだけ教えて欲しいのよ。
そういって見せられた写真には彩希が映っていた。
知っている。と答えればそれまでだが、色々深堀されそうな気がしたので…
奈:ごめんなさい…ちょっとわかんない…かな?どうかしたんですか?この子。
?:いやぁ…ちょっとこの子のことを探している人がいてね。ごめんね関係ないのに話しかけちゃって。
奈:いえいえ…こちらこそお役に立てず申し訳ありません…
?:ハイこれ。質問に答えてくれたお礼ね。
奈:いや!申し訳ないですよ…大丈夫です!
?:いいからいいから…まぁいらなかったら捨ててもらって構わないから笑それじゃ!
そういって女に包みを渡された。
帰って開封するとそこには腕時計と説明書が入っていた。
可愛いデザインの時計に目を惹かれ、ろくに説明書も読まずに腕時計をはめてしまった。