5月2日…乾杯
乾杯!!
静かな部屋に二人の明るい声が響いた。
部屋には二人の飲む柑橘系のカクテルのいい香りが漂っている。
奈:美味しぃ♡やっぱりお酒美味しい♡
彩:うん♡この爽やかですっきりした感じが美味しい♡
奈:ゆうちゃんもお酒好きでよかったぁ♡
彩:私飲むの結構好きだよ?こっちも奈々が好きでよかったぁ♡
その後も他愛のない話が続いた。
気づけば2L近く入っていたはずのボトルも中には何も入っていなかった。
二人共ほろ酔い…になるかと思ったらそうでは無かったらしい。彩希はかなり酔っているように見えたけど笑
それもそうだ。あのボトルの8割近くを彩希が一人で飲んだのだから。
彩希の頬は紅く染まっていた。まるで真っ赤なりんごのように美しく、ちょっぴりと色気があった。
そんな彩希を見て気分が高揚していたのか見ては顔を逸らし見ては顔を逸らしを繰り返した。
…
それから何時間経っただろうか。彩希が目を覚ました時既に部屋は真っ暗だった。体には毛布が掛けられていた。奈々が掛けてくれたようだ。
ありがとう。と思う直前に彩希は妙な異変に気付いた。服を着ていない…それどころかズボン…いや、パンツすら穿いていない。
奈々は…どうやら部屋にはいないようだ。
彩希は部屋を見渡すがどこにも衣類は…部屋には何もなかった。広い奈々の部屋に彩希がただ一人だけ。周りにはさっきまであったお酒どころか机すらない。
時計は2時を指していた。