4月10日…学校
@5月1日…部活
入学からおよそ1か月が経過し、1年生の部活正式スタートの日。
際立って運動が得意でも無かったので好きな美術を…と美術部に入部した。
放課後、初めての部活に参加するため絵画室へ向かった。
絵画室の前に来るとにぎやかな声が中から聞こえてきた。
入ってみると既に10名ほどの部員が集まって何やら作業をしていた。
?:ん、新入部員か?なーに緊張せんでえぇって(笑)よろしくなぁ!
そう言ってくれたのは部長の白間先輩。みんなからは美瑠さんと呼ばれていた。
関西系の若干姉貴な感じで怖そうだったがいざ話しかけてみると優しそうな先輩だ。
年齢を訪ねると同い年。ただ一学年先輩なので高橋先輩と同級生のよう。
しばらくぼーっとしてみたが顧問が入ってくるわけでもなく、美瑠さんが何か言い出すわけでもなく。
のんびりみんなで話しながら時間が過ぎていった。
外を見ると体育室が見えた。今はあのタップダンス部が使っているらしい。
みんな一生懸命に練習をしていたなか、誰かがミスをしたのか急に慌ただしい雰囲気になった。
誰かが誰かを責めている、そんな感じで。
しかしその争いもすぐ収束し練習を再開したようだった。
それにしてもあのセンターポジションは誰が踊るのだろう。奈々はそれが気がかりだった。
結局少し絵を描いただけで部活終了時刻になった。
バス停に向かうと、様々な部活着を着た運動部員が足早にどこかに向かっている。
奈々は特に気にもせずバスに乗り込んだ。
運動部員はバスを使わず走ることになっているらしく、途中で大勢の生徒を抜き去っていった。
駅で電車を待つ。電車が来る。乗車し席に着く。
それからどのくらい時間が経っただろうか。ふと景色を見るとトンネルの中。そんな光景に違和感を感じすぐ着いた駅で降りる。
どうやら乗り過ごしてしまったようだ。時計を見ると22時を回っていた。
携帯を確認するとママから電話が数件入っていた。すぐに折り返し電話を掛けるが繋がらない…。トンネルの中で電波が届かない。
駅の時刻表を確認すると、乗ってきた下り方面の列車は大勢残っているが家まで帰れる上り列車は先ほどで既に終了。こんなところまで来たことが無かったので焦ってしょうがなかった。
どうしようかしばらく迷っていると、次の列車が入線してきた。ドアが開くとたった一人乗客が下りてきた。
…その乗客は六色学院の制服を身にまとっていた。