堕落
58
仲村は開門に言われた通り代々木公園の周りをワンボックスカーで回った。
深夜の代々木公園は日比谷公園と並ぶ露出カップルの多発する場所である。
まさか開門はシャブで極まりノゾキをしようとしているのか?
「よしここで止まれ」
開門がそう言うので仲村は車を停止させた。
仲村は公園のほうを見ると確かにベンチでイチャついているカップルがいた。
やはり開門はノゾキをしに来たのだろう。
車のカーテン越しに開門がゴソゴソ何かをしている音が聞こえる。
まさかこの馬鹿は車の中でノゾキをしながらセンズリをしようとしてるんじゃないの?
開門はゴソゴソを繰り返していると今度はバックから何かを出す音が聞こえた。
仲村は音だけで開門が何をしているのかは容易に想像が付いた。
開門は何かを取り出すと一瞬「おぉ」と吐息を漏らした。
そしてしばらくすると「ヴィィィィィン〜」とバイブレータの音が車内に響き渡る。
バイブの機械音はすぐに小さくなり開門のあえぎ声が漏れ出す。
開門は一体何をしているのだ?
仲村は開門から絶対にのぞくなと言われたにもかかわらずカーテンの隙間から開門が何をしているのか覗いた。

深夜なのであたりは暗く、月明かりと街灯だけだが開門がワンボックスカーでしている行為はハッキリと認識できた。
開門は車の椅子を倒し全裸に成り乳首に洗濯バサミを付け、アナルにローターを突っ込み窓を少し開け代々木公園で青姦しようとしているカップルをノゾいてセンズリをしていた。

開門はシャブを食えばこんな事ばかりするから、シャブをやらないように厳し監視されるのだろう。
さすがにシャブを食ってここまで変態はになる人間を仲村は見た事が無かったし聞いたことも無かった。
こんな状況で同じ車に乗っているとこっちまで気が狂いそうだ。
車内には開門の桃色吐息で仲村までおかしくなりそうだ。

開門は30分ほどゴソゴソすると急にしゃべり出した。
「よしもうちょっと回れ」
開門はシャブを食えばこんなことばかりやるのだろう?ノゾキの性癖があるのだろうか?
こんなもの1人でやれば女湯でもノゾキ警察に捕まってしまうではないか。
仲村は龍道組で開門が覚せい剤を厳しく制限されている理由がなんとなくわかってきた。
開門に言われた通り車は代々木公園の周りをゆっくり回っていると開門がまた「止まれ」と指示を出す。
車は停車すると開門はまたセンズリをしだす。
仲村の本心は参っていた。このような事をするなら開門になど付き合わないほうが良かった。
また開門のゴソゴソする音と桃色吐息が車内に響く。
本人はノゾキが楽しいかもしれないが仲村からしてみればたまったものではない。仲村までおかしくなってしまいそうである。
「あのう、開門さんちょっと良いですか?」
開門の吐息は止まりゴソゴソ音も止まった。
「何だ」
こんなところに居れば頭がおかしくなってしまう。
「ちょっと外の空気を吸ってきていいですか?コンビニにも行って着たいです。1時間もすれば戻ってきますのでいいですか?」
「ダメだ。俺1人にするな。それとも腹が減ったのか?トイレか?」
別に腹が減った訳でもトイレでもないが開門の変態オナニーにはついて行けない。こっちまで頭がおかしくなってしまう。
「はいトイレにも行きたいですし、お腹も減りました」
「・・・そうか、なら待ってろ」
開門はそう言ってまたゴソゴソし出した。

1分もすると開門のゴソゴソは終わり、カーテンが開いた。
「よし、じゃあ今から焼肉を食いに行くぞ」
さっきまで変態オナニーをしていた男が急に焼肉を食いに行くと言い出した。
「焼肉って言ってもどこに行けばいいんですか?」
「代々木公園からだと新宿でいいな。大久保行け」
この変態はさっきまでアナルにロータを突っ込みセンズリをしていたくせに偉そうに大久保に行けと命令口調だ。
仲村は言われる通りに大久保にむかい車を走らせた。

代々木公園から新宿大久保など深夜なら車で5分位だろう。
東京のコリアンタウン大久保に付いた。
開門は適当にここにしようとと焼肉屋を指差して車を降りた。
「シャブが有るから路上駐車なんか出来ないからどっかのパーキングに入れてここの店に来い」
開門は1時間くらい前にシャブをやったばかりなので食事など出来ないだろうと思いつつ仲村は言われた通りに車をパーキングに止めて焼肉屋に向かう。

仲村が焼肉屋に入ると焼肉屋の店内は広くは無いので開門がどこにいるかなど直ぐにわかったが開門が前もって言ってくれていたのか店員が開門の待つ席まで案内してくれた。
開門とテーブルに座ると店員が注文を聞きに来た。
「生1つとカルビ、レバー、ホルモン、タンをそれぞれ2人前、仲村お前は車の運転あるから酒はダメだぞ。何にする?」
自分は1時間弱前にシャブを極めていてアルコールはダメだと偉そうに何を言う。そう思いながらも口には出せない。
開門はシャブを極めたばかりなのに飯など食えるのか?勝手に注文しておいて。
「開門さん焼肉食べれます?」
「俺はイってもメシ食えるんだ」
仲村はシャブをやれば食事など出来ないのでイマイチ信用できない。焼肉が余ったら全部食べなくてはいけないのは仲村だ。
「じゃあライスとウーロン茶でいいです。他に食べたくなったら後で言います」
仲村がそう言うと開門は店員に注文をした。

10分もすると焼肉がテーブルにのり。開門はビールを一気に飲み干しすぐに生ビールをお代わりをした。
シャブで極まっているから酔わないが開門はビールを次々に飲み干す。
焼肉もシャブをやったばかりとは思えないだけ開門は食べていた。
ただ本当は食べたくないのだろう。無理して食べているせいなのか開門の顔は脂汗をかいていた。

開門という男は本当に豪傑である。
シャブを極めて1時間もしていないのに焼肉屋でビールをジョッキで15杯、焼肉も仲村くらいは食べていた。
開門は目をギラギラさせながら仲村に言った。
「この後も頼むぞ」
この変態はノゾキをやりながらセンズリをこきたくて仕方が無いのだ。
「また代々木公園に行きますか?」
「代々木公園じゃなくてもいいぜ。次は歌舞伎町でも行くか?池袋で家で少女でも見つけるか?」
「歌舞伎町や池袋に行ってどうするんですか?」
「仲ちゃんは運転してれば言いだけだ。俺は女が見れればどこでもかまわない」
開門はシャブを食うとそういう性癖があるようだ。
「もしですよ。もしですが警察から職務質問wかけられたらどうすればいいですか?
「仲ちゃんは俺をグリらせたいのか?デリヘルの迎えだとか何とか言えばいいだろうが。お前は抜道の妻で働いているのは事実なんだからよ」
「もし車内を見せてくれといわれたらどうすればいいんですか?」
「そんな事あるかボケが!ゲイのデリヘルって言え。俺を怒らせるなよ」
このパンチパーマの大男は言う事が滅茶苦茶である。
「いやそういう意味で言ったんじゃないんです」
「俺は関東会練馬一家の開門快道だ。俺はな15の時に初めてシャブをやってな19の時に殺人未遂で少年院に入って、21の時出てきてまたシャブやり22の時に抗争で相手を日本刀で切って〜〜〜」
開門は関係ないのに話を変え身の上話を語りだした。
そういえば開門は仲村が監禁された時もシャブを食って同じことを言っていた。
「その時、俺が相手組員を3人ボコボコにして、車のトランクにつめてさらったんだ」
何だこの開門という男はシャブでも癖が有るがこの男は同じ事を繰り返す九官鳥とノゾキマニアなのか?
開門は目をクリクリさせ口の周りに唾の泡をつけながら昔の武勇伝を自慢げに喋り続ける。


結局、九官鳥に成ってしまった開門は店内で同じ話を3回繰り返して焼肉屋を出た。
パーキングに車を取りに行き車に乗り込むと開門は後ろの席にのった。
開門は車に乗り込むとすぐにシャブをやろうと思ったのかカーテンを閉めて出した。
カーテンが邪魔で何をしているのかは見えないが容易に想像はつく。
「まだ車出すなよ」
開門はそう言ってゴソゴソしだす。
少し経つと大きなため息が聞こえた。
おそらくは追い打ちしたのだろう。

「よし歌舞伎町に行け」
開門の号令で車は走り出した。

迎夢 ( 2013/08/11(日) 03:54 )