堕落
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監視カメラの映像でココロを観ていてもいっこうにみたらし団子は食べない。
仲村は良からぬ事を頭で考えていた。
シャブをヤクザから上手く手に入れてシャブを武器にココロを変態漬けにするか?
はたまたシャブをやっている証拠を掴んで本名、住所でココロを恐喝ゆすろうか?
とにかく仲村は2ヶ月近く抜いているシャブの快楽とシャブで篭る変態セックスで頭の中が一杯に成った。
それほど仲村は覚せい剤に依存していた。
そして普通の人ではそれで恐喝しよう等とは考えないだろう。

仲村はココロの映像を見ていると他の女の子も帰ってきた。
こいつらもポン中なのか?
仲村は変な勘繰りをした。
監視カメラの映像ではココロはただひたすら携帯電話をいじっている。
別に携帯電話の操作などそれ程、変わった行動では無いが一度ポン中と思ってしまうと携帯電話を操作するココロがシャブの効き目で携帯電話をやっているように見えて仕方が無い。
そしてみたらし団子も食べない。
もう1人の女の子は待機室でテレビを見ているだけで女の子同士の会話も無い。
しばらくすると客が1人来た。
仲村はココロを観察したいのでもう1人女の子しかいないようにして客にその子を選ばせた。
そしてまたココロは待機所で1人になった。

仲村はココロがシャブを行く女の子か気に成ってしょうがなかった。
シャブを好きな女の子かなどどうやって確かめればよいのだ?
仲村は少し考えてある事を思いついた。
そしてココロのいる待機所に入っていった。
ココロは仲村を見ると「お客さんですか?」と尋ねた。
「いや違うんだけどココロちゃん団子食べた?」
「まだ食べてないです」
「団子嫌いだった?」
「そういう訳じゃないんですけど・・・」
「団子よりアイスとか氷の方が良かった?」
アイスとは覚せい剤の隠語である。
覚せい剤は一般的にはシャブやヒロポン等と言うが今の若い世代はS、冷たいの、アイス、氷、早いのなどという。
仲村の問いにココロは動揺を隠せない。
「え!?・・・」
「アイスクリームだよ。どうしたの?ソフトクリームとかカキ氷とか嫌いだった?」
仲村はニタ付きながらしらじらしく誤魔化した。
「どうしたの動揺しちゃって?なんか隠してる事があるんじゃないの?」
「な、何言ってるんですか何にも無いですよ」
ココロは動揺を隠せないで居た。
「そうなら良いけど」
仲村はそう言うと待機所を出た。
間違い無い。ココロはシャブ好きだと確信する。

結局、その日はそれ以上の進展はなかった。
と言うよりはココロがシャブ好きであろうが無かろうが仲村は今、現在シャブをやっていないし手にも入らない状況だ。
シャブが欲しいとヤクザに言う勇気も無かった。
しかし自宅に帰り携帯電話に入っているアユミとの変態セックスのハメ撮りを見ると蟲が騒ぐ。たまにシャブをやるくらいなら良いんじゃないかとすら思えてくる。
節度を守り毎日やらないでたまにやるくらいなら覚せい剤はすばらしい娯楽である。
覚せい剤さえあればココロに思いっきり変態セックスが出来る。
もう仲村はシャブで変態セックスをすることが頭から離れない。
これが覚せい剤の魅力でもあり恐怖でもある。

そうだ高山に聞いてみようと思い高山に電話をかけた。
「仲村ですが」
「どうしたんだよ。仕事頑張ってるみたいじゃないか若頭から聞いたぞ」
「ちょっと相談があるのですが」
「急になんだよ相談って?」
「あのう・・・開門さんには言わないでくださいよ」
「・・・いわないよ。どうしたんだよ」
「シャブって手に入りますか?」
「・・・おっさん。この電話の話は聞かなかった事にするからシャブはやめな」
「私がやるんじゃないんです。欲しい人がいて手に入るかなと思って」
仲村は思い付きのウソを言った。
「そりゃあ龍道組うちのくみはシャブ屋みたいなもんだからシャブはあるけど流石さすがにおっさんに密売ばいしたのバレると俺も困るからよ」
「・・・絶対に高山さんの名前は出しませんので」
「勘弁してくれよ。俺は聞いてないからな!シャブ欲しいの電話はもうするなよ」
そう言うと高山は一方的に電話を切った。

どうしたらシャブが手に入るのだろうか・・・
ただ開門には怖くてシャブが欲しいなどとは言えない。

迎夢 ( 2013/08/11(日) 03:49 )