堕落
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仲村が関東会練馬一家龍道組開門組の組長が経営するホテトル「抜道の妻」で働き1ヶ月が過ぎた。
よその風俗店は知らないが抜道の妻の仕事内容はひどかった。最初こそ楽しかったが単純すぎて飽きて来た。
女の子とあわよくばとの仲村の下心は叶わなかった。いくら風俗嬢でも仲村のようなハゲかかった中年は嫌だった。


その日も出勤前にコンビニにより飲み物と簡単なおやつを買った。年のせいなのか今日はみたらし団子を買った。
抜道の妻は変わらず子供でも出来る仕事だった。
ハッキリいって。仕事にも慣れてきてだらけていた。
その日はいつものように客を待っていると絶対に今シャブを入れたてと思われる男が入ってきた。
目は真ん丸でギラギラ、額から汗を流し昼からこんな状況で歩いていれば職質してください状態だ。
仲村もシャブ経験者だ。この男が極めている事は間違いない。
「ココロちゃんいるか?」
ポン中と思われる男は店に入るなり、ココロと言う女の子を指名した。
ココロは年の頃なら25,6の女である。一様は抜道の妻では20で通している女の子である。
今来た客はポン中であろう、そしてポン中に指名されたココロと言う子もシャブをイク子なのだろうか?
「お客様、ご利用時間は?」
「3時間」
やはり間違いない。シラフでなど3時間など利用する訳が無い。
「180分なら5万円になりますが宜しかったですか?」
「いいよ」
そう言って客は仲村に5万円を渡した。
本番の店で長時間は結構珍しい。
仲村は料金を受け取ると女の子の待機所に行きココロを呼んだ。
そういう目で見るとココロはシャブ好きに見える。これからホテルで一発極めて来るのだろうか?
ココロがポン中と思われる男とホテルに向った。
ココロはポン中の客を見た瞬間からテンションが上がり嬉しそうだった。
ますます怪しい。そういう目で見るとココロもポン中にしか見えない。

その後に他の客が来て女の子のは居なくり店の中には仲村1人だけとなった。
ココロは本当にシャブ好きなのか?仲村は疑問に思った。
そして店内には仲村1人しか居ない。
ココロは本当にポン中なのだろうか?他の女の子も麻薬をやるのだろうか?
仲村は下心と好奇心から女の子が居なくなった待機所に入り込み女の子の持ち物をチェックしようと待機所に入る。
待機所は冷蔵庫、電子レンジ、テレビテーブルと置いてあり、それぞれが使っているロッカーがある位だ。
仲村の頭の中で悪魔と天使が戦っている。
天使「他人の荷物を勝手にチェックするなど人としてやってはダメだぞ」
悪魔「従業員がシャブをやってるかもしれない。店を管理する立場の人間が持ち物をチェックするのは当たり前だ」
そんな天使と悪魔が仲村の頭で戦っている。
しかし人間とは好奇心と誘惑には弱い生き物だ。
仲村はロッカーのスペアキーをカウンターから出すと女の子の待機所に向かった。
仲村はダメな事とは分かっていながら従業員のロッカーを開けて持ち物検査をした。
若い女の子の荷物を調べるという行為なので鼓動は早まり、仲村の性器が嫌でも反応する。
昼間出勤の子は一応は5人居るが平均3人で今日に関しては2人だけである。

一人目の女の子のロッカーを開けるとブランド物のポーチがはいていた。
仲村はポーチの中身を空けると今時の若い女の子だけあって化粧道具と手帳、いろんなキーホルダーが付いている携帯電話
が置いてある。
特別怪しいものは無かった。
そしてココロの荷物も物色する。
ブランド物のバックに化粧用具、手帳、財布、予想に反して特に変わった物は持ってなかった。
財布の中を覗くと現金が1万ちょっと訳の分からないカードと免許書が入っていた。
仲村の悪魔がささやく。
悪魔「免許書の本名、住所、本籍をメモしろ」
特別何をするわけでもないが仲村はココロの免許書の本名、住所、本籍を携帯電話のメモリーに書き込んだ。
そして荷物をロッカーに戻すと何も無かったように仲村は待機所を出て仕事に戻った。

あとは特別変わった事はなかった。
3時間後、ココロは何気ない顔で店に戻ってきた。
仲村はココロの顔をじっと見た。一度シャブ好きの人間と見てしまうとその様にしか見えないのがポン中である。
見れば見るほど怪しい。気のせいか3時間前より瞳孔が開いているように見える。
仲村はココロがホテルでシャブを食ったか確かめる為に今朝、店に来る前に小腹が減ったとき食べようと思ってコンビニで買ったみたらし団子をココロに差し入れした。
シャブを食ったなら団子などお茶が有ろうが食えたもんじゃない。
それはシャブ経験者の仲村ならではの思いつきだった。
「ココロちゃん3時間お疲れ様。疲れただろう」
仲村はサラリーマン経験が長いので言葉使いは丁寧だ。
「大丈夫ですよ。仲村さんどうしたんですか?」
「いやね。ここの店で3時間コースは珍しいだろ。疲れたろうと思って差し入れ持ってきたんだよ」
そう言って仲村はみたらし団子をココロに渡した。ココロは一瞬驚いた。
「え?・・・ありがとうございます」
「他の子が来る前に食べてよ」
「今はちょっとお腹減ってないんで・・・」
ココロの目が泳ぐ。
「そうなんだ。じゃあ後で食べてね」
仲村はそういって待機所を出た。
間違いないだろうココロはホテルでシャブを極めたのだろう。
仲村はニタつきながらカウンターに戻り女の子の待機所の監視カメラの映像を見てココロの行動を監視した。

迎夢 ( 2013/08/11(日) 03:49 )