別れ
加藤美南は決勝の舞台へと走っていった。
「お待たせしました。指原さん。」
「いい顔しているね。泣いても笑っても最後の戦い。」
·「楽しみましょうよ。」
「全力でね。ベルトさん!」
·「ハイパー大」
·「オーケー、莉乃。スタートアワーエンジン!」
·『変身』
二人のライダーは持てる力を出し、剣でぶつかり、拳をぶつけ合った。
「負けない。」
ドライブが息も絶え絶えに立ち上がると、エグゼイドも立ち上がる。
·「こっちだって負けるわけには行かないんだ。親父の作ったこのゲームを攻略するんだ!」
·『え?』
エグゼイドの発言に対戦者である指原、ベルトさん、モニタールームのメンバー達が疑問の声を上げた。
·「決め技。ハイパークリティカルストライク!」
エグゼイドは周りの疑問の声に答えることなく、必殺技を発動した。
「そういうことか。」
ドライブは無抵抗の姿勢を取った。
「おめでとう。今年のバトル選抜も楽しかった。」
消滅しながら、指原はエグゼイド、加藤に賞賛の言葉を贈った。
「第二位、仮面ライダードライブ。指原莉乃」
·「バトル選抜優勝者は仮面ライダーエグゼイド、加藤美南。加藤、現実に帰る時間だ。」
「はい。」
バーチャル空間に光が満ちた。
「
遊哉君。ありがとう。君のおかげで優勝できた。」
·「ごめんね。俺のわがままに君を巻き込んで。」
彼の名前は橘
遊哉。
名前から分かるように橘さんの息子である。
しかし、彼は既に死んでいる。
彼は特撮作品とゲームが大好きなザ・男の子だった。
彼は交通事故でこの世を去った。
彼が作ったシステムによって彼はネット上を何年もさまよっていた。
父、慎吾が作ったゲームを攻略することで成仏する為に。
慎吾はゲーム作りをやめた。
今回のバトル選抜のシステム作成に携わったことで
遊哉は、このゲームに参加したくなったのだ。
加藤美南は彼に自身のデータを使って、戦わせるという選択をした。
去年のバトル選抜に興奮、興味を持っていたことは事実だった上に、仮面ライダーは人間の自由の為に戦う戦士。
成仏できない存在なら、成仏させるのも仮面ライダーの使命だと思ったからこその選択だった。
その結果、彼に振り回されながらも、加藤美南はバトル選抜を優勝することができた。
「逝くんだね。」
·「あぁ。これからも楽しくゲームしてくれよ。」
「もちろん。」
遊哉も消滅していった。