02
そもそも、和希と初めてセックスしたのは私の興味本位なのだが、もっと遡れば私ではなく、当時同じクラスにいた女子、ゆりあがきっかけなのだ。
彼女は高校を入学してすぐに彼氏を作り、すぐにセックス。遊び人の気質を炸裂させた。彼氏は超が付くイケメンで、隣のクラスにいた。
周りの女子は彼を狙っていた子がほとんどで、ゆりあに嫉妬していたのだが、私は違った。
セックスってどんな感じなんだろう?と、まさかの斜め方向への発展だった。
自分と和希が付き合い始めた時期と、ゆりあが付き合い始めた時期はほぼ同じだったため、あまり自分達に目が向かなかったのもあって、和希を誘うのは簡単だった。
「ねぇ和希、明日土曜日だけど、何か予定とかあったりする?」
「え?明日?いや、ないけど」
「ない?本当にない?」
「ないって」
「じゃあ、今日の夜うちに来て」
「え?夜?まぁ、いいけど」
実は今夜、両親が中学校の同窓会でいないため、時間がたっぷりある。二次会にも出てくると言っていたため、帰りは午前0時前後だろう。
和希は早めに夜ご飯を食べて家に行くと言っていたため、私も早めに夜ご飯を食べて待つ事にした。
「じゃ、待ってるね」
「うん、なるべく早く行くよ」
学校が終わり、バスに乗って本を読んでいると、突然隣にゆりあが座ってきた。
「ねぇ未央奈、和希とどうなの最近?」
「どうって、どう言えばいいの」
「うちみたいに一線は・・・越えてないよね、流石に。なんかうちがめっちゃ妬かれてるせいか、未央奈と和希の話題がないよね」
「こっちとしては無い方がいいんだけど」
「ちっと早まりすぎたかなぁ。でもさ、うちの彼氏って顔の割にチャラさが無いんだよね。むしろつるんでる友達の方がチャラいよ」
「そうなんだ・・・いや、チャラさは確かにないよね」
「あれ、なんか知ってた感じ?」
「ゆりあが付き合って一ヶ月くらいした頃に突然呼び出されたんだけどさ、内容が「ゆりあの好きなものとか知ってたら教えてください」って。イキってる感じじゃなくて、ゆりあを想ってるのが分かったから」
「マジ?こっそりそんな相談してたんだ」
「うちじゃないと聞けなかったみたい。本人が言ってた。自分の事狙ってる女子だと勘違いされるからって」
「へぇ、それは分かってたんだ」
「意外と狙ってる姿って、あからさまだったみたい。ゆりあとうちはそうじゃないみたい」
「未央奈は最初から狙ってすらいなかったって分かるだろうけど、うちも違ったのかな?同じ感じに見えてると思ってた」
「ゆりあはね、自然に手を差し伸べたくなるんだと思う。あざといわけじゃないし、そこが魅力的だと思うよ」
「・・・なんか、今日はいい事聞けた。ありがと」
目的のバス停に付き、先に降りると、ゆりあとの会話をもう一度思い出してみた。彼を狙ってはいないけど、ゆりあを羨ましくは思っていた。彼女の魅力は自分には無いところだらけだ。
今夜、一線を越えようと和希を誘ったものの、急に自信が無くなってきた。だがそれを乗り越えればゆりあみたいになれるかもしれない。消極的ではいられまいと走って家に帰ると、すぐに着替えて手を洗い、夜ご飯を食べた。