02
未央奈を呼び戻し、美彩の家に行くと、翔は話の続きを始めた。
「祐唯さんの家の場所をご存知なんですか?」
「あの場所でストリートパフォーマンスやってるくらいだから、あまり遠くはないとは思ってたんだけど、つい一昨日、なんか妙に怖い男の人達が集まって、同じ場所をウロウロしてたの。そこに警察の人もやってきたし、間違いなくそこがあの子の家だと思う」
「あなたがくると思って人質にとっておこうとしてたんじゃないのぉ?警察もそれを読んでたんでしょ?」
「でしょうね、おそらく」
「それでもあの子に会うの?」
「ええ、勿論」
美彩は翔の迷いのない目を見ると、強く抱き締めた。
「ダメ、行かないで・・・」
「な、なぜでしょう」
「さっき言ってたよね。自分はもう死ぬでしょう、って。なんか、嫌な予感がするの・・・行かないで、お願いだから・・・」
「・・・」
「お願い、行かないで・・・」
美彩を離すと、翔は未央奈を呼んで廊下に出た。
「どうするつもり?」
「会いに行きますよ。止まっては行けないんですから。ですがまずは、美彩さんの前から消えなければいけませんので」
「・・・どうやって?」
「未央奈さん、すみませんがもう一度見張りについてもらえませんか?もし見つけたら、自分の事を話してください。連絡をくださればすぐに行きます」
「・・・私も一応犯罪者なんだからね、あまり長くはいられないわよ」
「危険を感じたら連絡をください。迎えに行きます」
未央奈を先に行かせると、翔は美彩の手をとった。
「美彩さん、あなたのその言葉がとても嬉しいです。だから行かない事を約束します」
「・・・本当に行かない?」
「ええ、だからこうしましょうか・・・今日は行かないという証明です」
「んっ!?」
部屋の中からかすかに聴こえる、濃厚なキスの息遣い。未央奈はそれをドアの外で聴いていた。
「あの子に会ったら、同じようにセックスするのかしらね・・・」