1章
標的(ターゲット)
次の日教室に向かうと
珍しく彼女が教室にいなかった
いつもならあの席座っているのに…。
いや、違う、あの席がないんだ

「なぁ康平あいつの席がないんだよ」
「あいつって山下か?
そーいえば珍しく教室にいない」
その時何かが心を動かした
「ちょっとトイレ行ってくるわ」
「魁斗、授業遅れんなよ」
その一言を聞く前に教室を出た
(おいおい、めんどくさいことになったぞ)

1年の階の女子トイレから
4人が出て階段を上っていった
(ん?あれって歳上だよな)
チャイムが鳴った
授業が始まったみたいだ
女子トイレの扉が開いた音がした
明らかに髪が濡れた女生徒が出てきた
(やっぱり山下だ。)

気づいたら彼女の手を取り
男子トイレの中に連れ込んだ
別に変な意味ではない
ただ濡れた状態で教室に向かい
彼女が笑われることが妙に嫌だったのだ

無言でカバンからタオルを出した
「……。」
彼女は下を向いて受け取らなかった
タオルを頭に掛けた
何があったのかなんて聞けることじゃない
だから僕は彼女を保健室に連れていき
授業に向かった
教室に帰るといつも通りあの場所に
席は置いてあった

「お!魁斗長かったなー。
もしかして大か??」
「吉田!私語は慎め!黒木も早く席につけ」
先生の怒号が飛んできた
今日はそれから
彼女が教室に来ることは無かった

■筆者メッセージ
少しずつ話が進んできましたねー!
もう1話連続でいくので少々お待ちを
これからも愛読よろしくお願いします。
ぺけぽん ( 2017/06/16(金) 00:10 )