第一話 目撃者
ある日の休み時間に大西健太と西野七瀬は部室にいた。
「コンペ入賞おめでとう♪」
「ありがとう…でも、これは俺の力だけじゃなくてヒロイン役のなぁちゃんや他の部員たちの頑張りのおかげだよ」
「ほんと健太君って優しいね」
「うん」
「そーゆとこ、大好きやわぁ」
「なぁちゃん…」
「えっ…?」
健太は不意に七瀬の唇を奪った。
「んっ…」
数秒間唇を重ね合った後、離れる。
「やっぱちょっと恥ずいね…」
「ごめん…いきなり過ぎて嫌やんな」
「嫌やないよ」
腕にもたれ掛かり、身体を密着させる。
「健太君なら…ね」
ドサ
その言葉を聞いた健太は優しく七瀬の
身体をソファに倒し、制服のボタンを
外していく。
恥ずかしさの残る七瀬は顔を赤らめながらドキドキしていた。
ブラが露わになると健太はそこに顔を
埋めた。
キーンコーンカーンコーン♪
休み時間終了を告げるチャイムが鳴る。
ハッと我に返った七瀬は制服のボタンを止めながら言った。
「うち…次、移動教室だからまた今度…」
「う…うん」
その場はそれでお開きとなった。
部室を慌てて出た七瀬に声がかかる。
「西野…だよな」
声の方へ身体を向ける七瀬。
そこにいたのは少し前に停学処分が下され、今日その謹慎が明けた山本だった。
山本は3年生で映研部に在籍しているので七瀬にとっては先輩に当たる。
「停学期間終わったんですか?」
「そうや、久しぶりに学校来たから部室に行こうとしててん」
「そしたら物音するから窓から見たらこんな光景広がってて驚いたわ」
山本は七瀬にスマホを見せた。
そこには先程ソファで制服のボタンを外している健太の姿とブラが露わになった七瀬の写真が収められていた。
「えっ…」
「西野が襲われたと思って念のため撮っておいたんだ」
「西野がレイプされそうになっていたからってせんこーに言えば奴は退学かな」
「そんな…これは襲われたんじゃありません」
「事実がどうかなんて関係ないねん」
「もし奴の退学が嫌なら西野がどうにかするしかあらへんな」
「学校でこんなふしだらな行為しようとしたんやから」
「とりあえず放課後部室で話そか」
一方的に放課後会うよう言葉を残して去っていく山本。
(そんな…どないしたらええの)
七瀬にとって悪夢とも言える日々が始まろうとしていた。