第1話
鉄平「いやー、マジで真夏ちゃん可愛くて良い子!日奈子の数倍良い子!晃樹には勿体無すぎる」
10月も終盤に差し掛かりすっかり寒くなってきたある日の夜、俺は以前話していた約束を守るべく、鉄平と日奈子をアパートに招き真夏を紹介していた。
今はみんなで真夏の作った鍋を囲んでいる。
晃樹「いや、真夏褒めてくれるのは嬉しいけどさ、それは日奈子が悲しむぞ」
真夏「そうだよ。私より日奈子ちゃんの方がよっぽど可愛いし良い子だよ?」
日奈子「2人とも優しい、ありがとね。鉄平は彼女に対する気遣いが足りないとこあるんだもん…」
鉄平「いや、そんなつもりはなかったんだけど…。なんかごめん」
若干雰囲気が重くなる。
真夏「それよりさ、大学での晃樹ってどんな感じ?怪しい女の影とかないよね?(笑」
その雰囲気を変えるように真夏が明るく話し出す。
こうやって何気なく空気をよめるのが真夏の凄いところの1つだと思う。
鉄平「んー、まぁ女の影は感じないし、基本俺たちと一緒に居るから、浮気とかはないんじゃない?」
日奈子「たしかに。しいて言うなら美月くらいかな、あやしいの。たまに2人で仲良く話してるもんね?(笑」
日奈子がニヤニヤしながら言う。
晃樹「おいバカ、余計なこと言うなって」
真夏「なにそれ。そんな子がいるなんて聞いてないんだけど。女の子で仲良いの日奈子ちゃんだけじゃなかったの?」
真夏が険しい顔で俺を見る。
明らかに機嫌を損ねてる。
こうなるから美月の存在は言ってなかったのに。日奈子、余計なこと言いやがって。
晃樹「いや、仲が良いというか…なんていうかその…」
真夏「いつも、私以外の女の子には興味ないって言ってくれてるのは嘘なの?」
晃樹「嘘じゃないって。美月はただの後輩。向こうが俺によくちょっかい出してくるから、他の後輩より話すだけだよ。俺には真夏だけだから」
真っ直ぐと真夏を見つめて言う俺に、真夏は安堵の表情を浮かべる。
真夏「ならいいけどさっ。ずっと私だけ見ててよね」
晃樹「当たり前だろ?真夏のこと大好きだからな」
日奈子「こらこらー。2人だけで惚気モード入らないでよ(笑」
鉄平「こりゃまた今晩激しくやっちゃいそうだな(笑」
真夏「ちょっと、別にそんな事…」
茶化す2人に顔を赤くする真夏。
4人での鍋はその後も続き、なんやかんや楽しく終わった。
そう。
ー俺には真夏だけー
そのはずだったんだ。
この日までは。