第2話
更に時は流れ7月も終盤、色々あった1学期も今日の6限が終われば終了だ。
裕「あー、やっと夏休みだー。やったな!麻衣!」
昼休み、俺はいつもと同じように麻衣と中庭でお弁当を食べている。初めて一緒に食べた日から毎日、麻衣の手作りだ。
麻「裕太くん喜びすぎ!(笑 そんなに夏休み嬉しいの?」
裕「そりゃあ、麻衣と2人で居れる時間も増えるし…」
麻「でも、私の部活は夏休み中ないけど、裕太くん達は日曜日以外はあるんじゃないの?」
裕「あるけど、全部午前中だけだから。それに、もう先輩も引退したから最悪サボってもなんとかなるしさ(笑」
そう言って卵焼きを口に入れたところで、麻衣からバシッと肩を叩かれる。
麻「ダーメ!部活はちゃんと出なさい!…もちろん、私の相手もちゃんとしないとダメだけどね」
ツッコんでからの甘え。
可愛いかよ。
裕「その言い方はズルいわ…。わかったよ。部活もちゃんと出るし、その上で麻衣の相手もします!(笑」
麻「よろしい!(笑 裕太くんと過ごす初めての夏だから、いーっぱい思い出作りたいな」
俺に笑顔を向ける麻衣。
裕「なんか行きたい所とかある?」
麻「うーん、そうだなぁ…。でもやっぱ海かな!夏といえば」
裕「海か…」
昔はよく親に連れられて美彩と行ってたなぁ。小学校の時は毎年一緒に行ったし、中学も1年の時は2人で行った記憶がある。
行かなくてなったのは、美彩の部屋に入らくなった中2だ。理由も同じく、俺が思春期になり女子と海に行くという事を変に意識してしまうようになったからだ。美彩は「なんで今まで一緒に行ってたのに今年はダメなの?行こうよ」と何度も誘ってきたが、俺が頑なに断り続け、結局なしになった。
行きたがっていた美彩に申し訳なく思った俺は、貯めていたお小遣いで美彩がずっと欲しいと言っていたアクセサリーを買ってプレゼントしてやった。
しっかしあの時の美彩、飛び跳ねて喜んだりして可愛かったなぁ…。
思い出して思わず口元が緩む。
麻「なに考えてるの?」
俺がひとりで思い出に浸っていると、麻衣が聞いてくる。
麻「あー、私の水着姿想像して興奮してたんでしょ?」
裕「ちがうちがう!…いや、まぁそれは興奮するけど…」
確かに麻衣の水着姿は想像するだけでヤバい。
“あの”後も麻衣とは数回体を重ねてはいるが、水着は裸とは違うエロさがある…気がする。
麻「もぉ。男子って皆そうなの?」
裕「…そういう生き物なんだよ、きっと」
麻「まぁ、裕太くんが私で興奮してくれるのは嬉しいんだけどね…(照」
何その破壊力抜群の言葉は。
今ここが家だったら間違いなく始まってるぞ。
麻「でも!」
麻衣は箸の先端を俺に向けてくる。
麻「他の女の子をジロジロ見たり、私以外の水着姿で興奮したりしたらダメだぞ〜」
口を尖らせ、箸の先でツンツンとするような動きをしながら言う麻衣。
付き合って分かった事だが、麻衣は結構嫉妬深い。俺がちょっとクラスの女子と話してると拗ねちゃうし、相手が美彩でも、俺と美彩が2人で長話してたり話が盛り上がってめっちゃ笑ってたりすると、後で何を話していたのか詳しく聞かれる。本人曰く「初めて出来た彼氏なんだから心配になって当たり前」らしい。
まあ、俺も全然悪い気はしてないんだけどな。むしろこんな美人に束縛して貰えて感謝しないと。
裕「しないよ。こんな可愛い彼女が居るんだから」
麻衣の頭を軽く撫でる。
麻「ならいいけど…」
麻衣は俺に向けていた箸を下げると、再びお弁当を食べ始める。
裕「とにかく明日からの夏休み、いっぱい2人の思い出が作れたらいいな」
麻「うん!夏祭りとかも一緒に行きたいし」
夏祭り…!
そっか、海と同じく小さい時から毎年恒例で、これは去年まで続いていた美彩との夏祭り。
でも今年は流石に美彩とは無理だな…。
裕「…いろいろと楽しみだね」
麻「写真もいっぱい撮ろうね?それで、ちゃんと保存しといて将来結婚式で流すの!」
裕「ちょっ!まだ付き合って2ヵ月だよ?気が早いって」
唐突な結婚式というワードに思わず食べていたご飯が口から出そうになる。
麻「そんなことないよ?私はもう、裕太くんと結婚するって決めてるんだもん…(照」
照れ隠しか、弁当を置いてお茶を飲み始める麻衣を横目に見る。
俺と結婚するって決めてる、か…
そういえば、まだだいぶ小さい頃だったけど、美彩にも同じ様なこと言われたなぁ…。
美彩は俺に言った事、覚えてんのかな?
裕「ありがと。麻衣にそんなふうに思ってもらえるなんて、俺は幸せだよ」