第4話
美彩が居ない時間は苦痛だった。
家からバス停まで10分、バスに乗っている時間が15分弱、降りたバス停から学校まで7分…。
仕方なく好きな音楽を聴いて気を紛らわせた。
俺が教室に入ると、クラスの4分の1くらいの人は既に来ていて、勉強をしたり友達と話したりしている。
まだ麻衣と美彩はきていないみたいだ。ま、いつもより35分ほど早く着いたから当然か。
自分の席に着いて何となくカバンの中をチェックする。
裕「よし、忘れ物はなさそうだな。弁当もあるし」
独り言のように呟く。
弁当…?
そういえば、今日から弁当は麻衣と食べる事になるのか?基本的に付き合ってる奴らはカップルで食べてるよな…。
ーーー
麻「裕太くん、こっち向いて」
裕「ん?なに?」
麻衣が笑顔でエビフライを持ってこちらを向いている。
麻「はい、あーん♡」
裕「…あーん(照」
ーーー
…うん。なくはないよな。俺たち彼氏彼女だもんな。なくはない…はず。
でも、そうなってくると麻衣の手作りとか…
隼「裕太、おはよう!今日は早いな…って、なにニヤニヤしてんだよ気持ち悪りぃ」
裕「うぉぉ、なんだ隼也かよ…。おはよう。今いいとこだったんだから邪魔すんなよ」
隼「お前今座って暇そうにしてたじゃねーかよ。今ダメならいつなら良いんだよ全く。てか、いいとこって何が?妄想の中で、現実では出来ない彼女とヤッて童貞卒業してるとこか?」
裕「うっせ、でかい声で童貞とか言うなバカ野郎。周りの女子に聞こえんだろうが。あ、それから残念だけど俺、彼女出来たから。今日から隼也と一緒に飯食べれないわ、ごめんな」
俺が彼女が出来た事を告げると、隼也は驚いた顔をみせる。
隼「は…?お前、マジで言ってんの?いや、飯とかは別に他の奴と食べるしどうでもいいけど。え、マジで彼女?とうとう妄想と現実が区別できなくなったんじゃねーか?」
裕「残念ながら妄想じゃないんだなこれが。隼也、お先!」
ドヤ顔で右手を軽く上げて言う。
隼「納得出来ねぇ…。あ、あれか」
隼也が近づいてきて小声になる。
「もう彼女が出来ればなんでもよくなって、ブス狙ったか」
裕「ははは…」
隼也のブス発言に思わず笑ってしまう。俺の彼女はブスとは正反対に居る人間だ。
隼「何がおかしいんだよ。…もしかしてお前、幼馴染なのをいい事に、衛藤さんを…」
美彩…か。美彩が彼女だったらどんな感じなんだろう。
ふとそんな事を考えてしまう。
裕「…違うよ。俺の彼女は…」
そこに彼女がやって来た。