もし主人公が女テニの部員だったらT
F練習試合 ~ダブルス2
お互い学校のスーパールーキー同士の試合が終わった後
コートに集まった4人。
これから始まるのはダブルス2の試合だ。


実は坂道学園の伊藤、加藤だけでなく
相手の欅中の石森、小池も今回ダブルスでペアを組むのは初めて。
お互い試行錯誤のようなダブルスと言える。


土田「うちの学校はなあ、みんなシングルスタイプで
   ダブルス専門職がいないんだよ」
衛藤「言われてみればそうですね(笑)」


伊藤か「かとしちゃん、気負わずのんびりやろう」
加藤「そうですね(笑)」


石森「あたしたち勝ちに計算されてなさそう(笑)」
小池「ほんまやなー、ぎゃふんといわせたろ!」


なんとなく雰囲気のゆるーい4人が対戦することとなった。
小池「ほな、いくでー」

加藤「(下から?カットサーブだ!)」


上から打ち下ろすのではなく、
腰より下の低い打点で切るような回転をかける
カットサーブを放ってきた小池。
そのままネットに詰めてボレーを狙ってきた。


重い球の強打を得意とする加藤も、
打球の回転と、小池の動きによって慎重に返さざるを得ない。
ネットに詰めてきた小池の頭上を通すロブを放った。


石森「ほーい」
*ポーン
小池が前に詰めてきたのとは逆に、
後ろに下がった石森がロブで打ち返してきた。

加藤「よっしゃ!いけええええ」
*パアアアアアン
石森のロブに対し、全体重を乗っけるようなフォームで
全力のトップ打ちを繰り出した加藤。
音があたりに響く。

石森「ほい!」
*ポオオン
加藤の全力を込めた打球に慎重にタイミングを合わせ、
またもやロブで返球してきた石森。
加藤がいる位置の逆コーナー深くにしっかりコントロールしてくる。

加藤「えいっ!」
*パアアアアアン
助走を付け、またもやパワーボールを放った加藤。
小池「キャッ!」
打球は前衛の小池の脇を潜り抜け、坂道学園の先制となった。

伊藤か「かとしちゃんナイス!」
加藤「どうもです」

小池「ごめーん、あの子の球怖すぎる・・・」
石森「まともに打ち合ったら負けちゃうね、」
加藤の打球がタダモノではないことを知った2人。


石森「よしっ!」
石森も小池同様、下からのアンダーサーブを放ってきた。
ただ、小池とは違いバックハンドによるもの。
加藤「(強打はできないなー)」

前衛の小池にボレーされるのを避けるため、
ロブで小池の頭上を通り越して返球する。

石森「(やっぱり・・・)」
ある程度コースを読んでいた石森、
レシーブのため、少し前に出てきていた加藤の真正面に向かって
トップ打ちを放った。

加藤「うわっ!・・・」
小池の背後から突然ボールが出てきたように見えたのと、
いきなり体の正面に飛んできたため、
なんとかラケットにあてて返すのが精いっぱい。
打ち損じを小池のボレーで決められてしまった。

伊藤か「見事な不意打ちね・・・」
加藤に強打をさせないべく、1球1球慎重に事を運ぶ様子の2人。

ゲームカウント 坂道学園1−3欅中

加藤の調子が崩されつつあるのと、
身体能力の低さをカバーする抜群のコンビネーションで
坂道学園を突き放しにかかる欅中。

加藤「足がもう動かないよ・・最近走ってるんだけどなー」
伊藤か「さっきからさんざん振り回されてたからね・・・
    ちょっと作戦変えてみる?」

小池「このまま行こう!」
石森「とりあえず、体力はだいぶ削ったから・・・
   もう強打は厳しいと思う」
強打を武器とする加藤対策として、
1球1球、必ず足を動かせるコースに打球を打っていた石森と小池。
結果として、体力を消耗させゲームの主導権を握ることに
成功したようだ。


小池「いけっ!」
お決まりのアンダーカットサーブを放つ小池。
回転量と弾道の低さから、ロブで返球する加藤。
すると・・・
石森「前衛と後衛が入れ替わった??」

レシーブをした加藤がそのまま前進してネットにつき、
もともと前衛ポジションで構えていた伊藤が後ろに下がった。

小池「慌てちゃダメ!とりあえず様子をみる」
中ロブ気味の打球を伊藤のほうに返球する。
ネットに詰めているのは加藤と石森。
伊藤と小池がベースライン付近からラリーを展開する形となった。

伊藤か「(行けるかな?)」
小池「!!(腕がしびれたっ??)」

一瞬腕に力が入らなくなった小池が打球を打ち損じ、
加藤がすかさずスマッシュで得点した。

石森「どうしたの??」
小池「ちょっとミスっちゃっただけ、ごめんー」
不思議に思って右手を軽く振ってみるが、何も違和感はない。

加藤「流石かりんさんだ、ラリーになったら負けないですね」
伊藤か「かとしちゃんがネットに詰めてるだけで
    結構プレッシャーになるからさ、しばらくこの形で行かせて?」
加藤「お任せしまーす!」

今度は小池のサーブを伊藤がそのまま返球し、
早くも再びラリーの形となった。

石森「(隙が無いなー、ボレーに行けない)」
小池の打球を、緩いながらもベースラインぎりぎりに
ロブで返球する伊藤。
ラリーが5,6球続いたとき・・・

小池「(まただ!力が入らないっ)」
力の抜けた打球となってしまったところを・・・
加藤「チャンスボール!」
再び加藤がポーチに出てボレーを決めた。

石森「どうしたん?急に力が抜けたみたいに」
小池「いや、漫画じゃないんだからとは思ってたんねんけど、
   打とうとした瞬間、一瞬腕が痺れるねん」
石森「うっそー、今度は私が後ろだから、ちょっと確かめてみる」

今度は石森が伊藤とラリーを展開、すると
石森「(なにこれ!急に?)」
打球が相手コートから逸れ、アウトとなってしまった。
小池「なっ、わかったやろ?何か仕掛けられてるんやあたしたち」

加藤「かりんさんよくわからないけどすごい・・・」
伊藤か「大したことやってないよ(笑)」



星野「スポットってやつだね」
大園「トップスピンとスライスを交互に打つってやつですか?
   本当にマヒするんですねあれ。漫画のなかだけだと思ってました」
星野「かりんちゃん使い方が上手なんだよ、
   1球1球、微妙に回転の量変えたりして元々ミスらせやすくはしてるんだ」

伊藤かりんが仕掛けていたのは「スポット」と呼ばれる
トップスピンとスライスの2種類の回転を交互に打つことで、
相手の腕の力を一瞬弱める技術。
カウンターショットを得意としている伊藤が、
自力で攻めるために練習した技のようだ。

ゲームカウント 坂道学園4−4欅中

小池「なんか追いつかれちゃったで?」
石森「さんざんミスショット打たされちゃったね、
   こうなったら加藤さん狙うしか・・・」

伊藤と打ち合うのを極力抑え、
体力を削った加藤を狙う作戦に出たようだが・・・

加藤「もうかりんさんが頑張っちゃったから、
   また1から行けます(笑)」
石森「うっそ・・・回復してる」

狙われるのを察して後ろに下がった加藤を狙って打った打球だが、
終盤体力が回復したせいか
再びパワーのある打球を打ち込んできた模様。

小池「あっ!」
ポーチに出た小池がラケットを飛ばされてしまった。


澤部「(行けると思ったんだけどな、惜しかったかー)」
土田「(こっちの勝ちだな、もらった)」
伊藤のスポットで腕にだいぶ負荷をかけられたうえに
加藤の剛速球を浴びされた小池と石森。
そのままなすすべなく・・・

加藤「やったー!初コンビで初勝利ですね」
伊藤か「頼もしかったよーかとしちゃん」

ゲームカウント6−4で坂道学園の勝利となった。
これでシングルス3とダブルス2の連勝。
早くも団体戦リーチがかかった。

石森「ごめん!やられちゃった」
長濱「ナイスファイトだったよ」
菅井「ねるちゃん頼んだ!」
長濱「プレッシャーかけないでよー(笑)」


土田「いい試合だったな!加藤はもうちょっと頭使いな(笑)」
加藤「ギクッ!まあまあ、勝ったってことでここはお許しを・・・」





クッキー ( 2018/01/23(火) 05:19 )