もし主人公が女テニの部員だったらT
A新人戦に向けて
20〇〇年9月。
夏の暑さもピークを過ぎたころ、
坂道学園中等部のテニスコートは練習をする
部員たちの声が溢れていた。

米谷「では、いったん休憩に入ります。15分後に再開ね」
全員「はい!」

部長の一言で、サーブ練習を行っていた部員たちが休憩に入る。
さっそく飲み物を口にする者、空いているコートで乱打をする者、
お手洗いに行く者などさまざまだ。

早坂「よねさん、次は何やる??」
米谷「練習メニューは全部こなしたし、
   あと2時間練習試合して終わりかなって」
早坂「りょうかーい。ともかく米さん仕切り上手だよね、
   3年生いなくなってまだそんなに経ってないけど」
米谷「まあ白石さんからみっちり叩き込まれたから(笑)
   引継ぎノートってやつまで作ってくれてたし」

コート端のベンチで新部長の米谷奈々未(2年)と話をするのは
次期エースとして期待されている早坂凛(2年)。
ちなみに3年生が最後の大会を終え部活を去ったのは2週間ほど前。
最後の総体(団体戦のみ)では地区準優勝を果たしたが、
都大会の準々決勝で敗れベスト8。
惜しくも関東大会への出場は逃してしまっていた。


早坂「でも本当にびっくりだよ、
   3年生いなくなってからの初めての部活が
   いきなりレギュラー決めるランキング戦だもん
   でもそれはそれで新しい顔が増えたけどね(笑)」
米谷「まあ、これまではレギュラー選びも暗黙の了解とかあったけど、
   そういうの嫌いだったから、これを機ってことでね(笑)」

早坂と米谷が盛り上がってたところに、
やってきた生徒が2名。

伊藤か「ねえねえ、もし空いてたらちょっと練習しない?」
山下「7、8分練習程度って感じなんですけど・・・」

休憩を早めに切り上げてやってきた伊藤かりん(2年)と山下美月(1年)
3年生引退後のランキング戦で頭角を現した新レギュラーである。
とはいいつつも、もともとレギュラーだったの早坂と米谷だけだったが。


早坂「かりんちゃんと美月ちゃんじゃん、いいよーやろうやろう」
米谷「ちょうどいいアップになりそう」

空いているコートでダブルス形式で練習試合を行う4人。
ぐーパーじゃんけんの結果、
組み合わせは早坂・山下VS米谷・伊藤か、となった。

早坂のサーブを米谷が返球してラリーが展開されている。
正確なコントロールを生かしベースラインぎりぎりにショットを放つ早坂に対し、
スライスやトップスピンをかけたロブを左右のコーナーに打ち分ける米谷。
さっそく我慢比べがつづくなか、
前衛の山下と伊藤はポーチに出られないようだ。

米谷「(あっ!)」
早坂の打球がネットにあたり相手側のコートに落ちた。

伊藤か「いまの狙いました?」
早坂「いや、できるわけあるか(笑)」

そういいながら次のサーブを放つ早坂
スライスの回転量が多いと見た伊藤は更にスライス回転を上乗せして
返球してくる。得意としているカウンターショットだ。

山下「んっ!」
勝負のポーチに出た山下だったが、軌道がずれてラケットの渕に
あたったボールは惜しくもアウトとなってしまった。
山下「すいません!(ペコリ)」
早坂「勝負に出たのはよかったから、次いこう次」


肩慣らしの練習が盛り上がるなか、
休憩を終えた部員たちが続々とコートに戻ってきた。
米谷「とりあえず終わりにしようか」
伊藤か「みんな戻ってくるの早や(笑)」

米谷「じゃあ残りの時間は皆さんが待ち望んでいた練習試合にします!
   今日の練習内容の確認も忘れずにね」
全員「はい」
この女子ソフトテニス部の部員は20名
1年生は12人、2年生は8人だ。
コートは全部で4面あり、バランスを考慮して米谷が振り分けていく。

守屋「凛さ、まだ帰ってきて何日ぐらい?」
早坂「うーん、3年生の都大会を見に行った前日だから
   2週間とちょっと」
守屋「日本語忘れちゃったりしなかった?」
早坂「言うても半年ぐらいだから(笑)」
横に並んでいた早坂に話しかけてきたのは、
同じクラスの親友でもある守屋茜(2年)。
早坂が姉妹都市であるフロリダの学校に短期留学していた間、
こちらの授業の内容をまとめたノートやプリントをメールで送ったり、
テニス部の状況なども逐一伝えるなど、細かい世話を焼いてきた。

早坂「ひさしぶりに茜とやりたいなー(笑)」
守屋「凛向こうでもデニスしてたでしょ?強くなってるもん」
こう話す2人だが、一緒の組になることはなかった。


織田「凛と同じ組かー、手加減お願い(笑)」
早坂「やだよ、だって持病なかったらあなた一番強いでしょ」
織田「きょうは痛くてですね、」
早坂「それは嘘、さっき練習で思いっきりジャンピングサーブ打ってた」
織田「うっ(汗)」
冗談交じりに早坂に話しかけてきたのは織田奈那(2年)
早坂同様小学生時代からのテニス経験者だが、
腰痛持ちというハンデを抱えている。
日によって調子が変動するらしいが、きょうはなかなかいいらしい。

【Aコート】★はレギュラー
・★早坂凛(2年)
・★織田奈那(2年)
・星野みなみ(2年)
・与田祐希(1年)
・大園桃子(1年)
練習試合はシングルス戦総当たり方式で行う。


星野「凛とおだななかー。強すぎるってば」
早坂「とかいいつつ、みなみちゃんもう少しで茜倒すところまでいったじゃん
   まあ、茜の根性が異常だったけど」
星野「まぐれだってば(笑)」
レギュラーには今回なれなかったが、
守屋と同じブロックで対戦し、
1セットマッチのタイブレークまで追い込んだ実力はある。
与田と大園も地区の一年生大会ではベスト16。
加藤史帆(1年)と山下美月(1年)に次ぐ成績は残している。

与田「おだななさんガット変えました?」
大園「おすすめとかありますか?」
織田「いや、そんなに私詳しくないって(汗)」

来月行われる秋の新人戦に向け士気が高まるなか、
各コートで練習試合が始まった。


■筆者メッセージ
しばらくは登場人物の紹介を交えた感じになるかと・・・。
一応設定は「ソフトテニス」。

現実とは違いますが、話の中では大会=団体戦(シングルス3、ダブルス2)
で進めたいと思っています。
(相変わらずの文才の無さ・・・)
クッキー ( 2018/01/04(木) 05:30 )