3.正義とルールの狭間で
闇の正体と未央奈の末路
都内某大倉庫

株式会社リバティスター、ここ数年でAmazonや楽天と一気に競合を始めたネット通販をメインに業績を上げている会社である。創業者の赤井涼は元々はエンジニアであり掲示板サイト運営で莫大な資金を手にした男で、その資金を元に都内に膨大な土地を買い上げて建てた大倉庫を活かし、常に品切れを起こさないショッピングサイトとして人気が上がった。また、赤井の実績と巧みな交渉術によって、電化製品やブランド品にわたる全てが本家に公認されており、パチ物が一切存在しないということも他のサイトにはない魅力である。
勿論、これは株式会社リバティスターの表向きの顔であり、赤井が都内にあえて膨大な土地を買い上げて倉庫を立てた理由は他にある。それは真ん中3棟の倉庫が性奴隷小屋として使っていること。大胆にも赤井は大会社の大倉庫のど真ん中にそんなものを作っていたのだ。
しかし、その辺りは流石に元一流エンジニア、赤井のスマートフォンのボタンワンクリックで表向きには存在しない地下と1階が入れ替わるようにシステムが組まれており、万が一調査が入っても無いはずの地下を調べられないと見つかることはない。大規模倉庫の中のたった3棟にしかない地下の存在を知り得る術はそうそうないだろう。
さらに、この倉庫に大きなトラックが出入りするのは日常のことであり、奴隷の搬入出も容易いと来ており、まさに完璧に仕組まれている。
「ふふふ…素晴らしいw」
性奴隷達は全員、強化ガラスケースの中に閉じ込められており、月に3回お得意の顧客達がやってきて地下においてオークションが行われ、そこで捌かれる。ここに来た時点でもう性奴隷としての未来しか存在し得ないのだ。
そして、先日ここに連れてこられた堀未央奈にも呆気なくここで将来が決まることになる。
「それでは50万からのスタートです」
日本でトップアイドルだった未央奈がたった50万からのスタート。勿論これから上がってはいくがスタート価格を安くしているのは、売る個体数を増やす目的と、最初にその設定を聞かされた女の屈辱と絶望の顔を見るためという目的がある。
「150!」
「200!」
順調に上がっていくかと思われたが…
「870!」
「870、他いらっしゃいませんか〜…それではそちらの方がら870万円で落札です」
たったの870万円。決して安い値段では無いが人間1人の人生を富裕層に入るか入らないかの年収程度で決められてしまうのはあまりにも酷である。ましてや、つい最近まで有名アイドルとして活躍していた未央奈の人権が剥奪されるには納得出来る価格ではないだろう。救われることはないにしても、自身のプライドを保つという意味では4桁後半の価値は欲しかったに違いない。
「いやあああ!!!!」
未央奈の絶叫が響き渡るが、会場の人々にとってはよくある風景の1つに過ぎず冷たい笑いで包まれた。

ブラッキー ( 2022/11/13(日) 17:24 )