暗闇のような意志
渡辺梨加は、川の堤防に座り考え事をしていた。正確には忘れてはならないことを思い出していた。
理佐と会う、数日前だった。
梨加は、欅坂46の絶対的なセンターである平手友梨奈と机を挟むようにして立ち、お互いを見つめていた。
友梨奈「梨加ちゃん、それなに?
おもちゃなの?おもちゃだよね。
珍しいけど…やめなよ?」
友梨奈は、普段見せる屈託のない笑顔を見せて、梨加に笑いかけていた。
なのに、自分は無言で友梨奈の胸に矢を放ってしまった。
彼女はなんの能力も発現できず、そのまま倒れて動かなくなった。
友梨奈は、何も言わなかったが、私を睨みつけていた。口を動かしてなにかを言っているように見えた。
倒れる時の友梨奈の目には、私を絶対に殺す。とでも言わないような意志が、炎となってと燃えていた。
梨加「だけど、死んだやつが復讐になんて来れるはずがない。
人の死なんてのは、あっけなく訪れる。運命なんてないんだよ。」
梨加は、川を見つめながら小さく声に出して言うとその場を後にしようとした。
背後に、誰かいることにも気づかずに。