1st
瑞穂の告白
瑞穂「奏翔おつかれ。
あんたも今日はよくやったよ。」

奏翔「瑞穂先輩…そんなのいらないです…
負けたのは僕が不甲斐ないからです…」

瑞穂は、奏翔の気持ちを察してか慰めるように優しくいうが、奏翔にとっては慰められていることが苦痛に思えた。

瑞穂「だったら、次うちらがすることは部員の確保だな。人数がいなきゃやっぱり無茶だから。」

瑞穂は、奏翔の言葉になにも反応することなく体育館の外壁に腕を組んでもたれ掛かると軽い調子で言った。

2人はしばらく黙っていたが、瑞穂は奏翔の真正面に立つと2人はその場で見つめあった。
奏翔には、瑞穂が何かに照れているのか顔を真っ赤にしているように見えた。

瑞穂「この前の、帰りにふたりで話したじゃん?距離感を縮めたいとか一目惚れがどーのって…
うちも、あんたのこと好きなのかもしれない…って言うか、好きだよ。
まだ気持ちが変わってなかったらうちと、付き合ってください。」

瑞穂は、いきなりの告白をするとまた顔を真っ赤にして手を差し出した。
奏翔も、突然の出来事に目を大きく開いて驚いていたが、クスッと笑うと瑞穂の手を握った。

奏翔は、瑞穂の手の温かさが心地よいと思った。今までは、人間関係、恋愛など色々なことに興味がわかなかったのに…瑞穂やバスケ部のみんなには自分を変えてくれたことに感謝をした。

奏翔「僕は、瑞穂先輩の言葉に返事するまでもないです…
だけど、落ち込んでるやつ相手に告白なんて、趣味が悪いですね。」

奏翔は、ふざけたように笑うとからかうように言い、瑞穂もその言葉にクスッと笑って手を離そうとしたがその直前に体育館からでてきた、みんなに見られてしまった。

菜緒「うちは、なにも見てないよ?」

他の部員たちは、はやすように口笛を吹いたりからかっていたが、菜緒だけは目線をそらしてぼそっと言った。
だが、その顔にはおめでとうとでも言っているような、優しい笑顔が張り付いていた。

茜「あんたら、ふたりは試合に負けたくせにリア充ぶりを見せつけてくるなよな〜」

茜はからかうように言いながらも2人に小さな声でおめでとうと言うと友香が、茜の後ろからひょっこり顔を出した。

友香「2人とも、お幸せにね♪
奏翔くん、尾関さんがこれからもお世話になりますってあとまた勝負しようね!って言ってたよ!」

と友香は、奏翔に笑顔で伝えると他のみんなも帰ろ帰ろなどと口々に言いながらも歩き始めた。

奏翔は、心の中でこんな日常も悪くないなと心から思っていた。

玲亜 ( 2019/07/30(火) 22:43 )