花言葉〜恋していいですか?〜







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July
07 緊急(男子side)
「明日もありますし、とりあえず終わりにしましょう。」

全員がぽかんとした表情になる。それと共に雅晴は橋本と共にあることに気づく。

「もしかして、全員泊りがけってこと?」

全員が一斉に頷く。その瞬間、橋本を連れて廊下に飛び出した。緊急会議を二人で始める。僕は慌てた様子で話し始めていたが、一方の橋本は冷静な反応だった。

「どーいうことだよ。泊りなんて聞いてないし、そんな用意もしてない。」

「俺も初耳だったけど、あの荷物量をみれば泊まるんだなってことは薄々気づくさ。」

いつものように小ばかにしてくる橋本に言い返す言葉がでなかった。知っていれば教えてくれていいものを…。それと同時に様々な問題が浮かんでくる。

「とりあえず、部屋と布団の確保。食料とお風呂の準備しないと。」

「何を慌ててるんだよ。全員で分担すればいいだろ。」

初めてのことで頭が混乱している僕に冷静になって突っ込む友人。階段を下りながら、姉を呼ぶ。絵梨花も時間のことを気にしていたのか、泊まりのことよりも彼女たちの身の心配をしていた。開口一番に大丈夫なのかと聞いてきた。

「姉さん、5人を泊めるスペースってある。」

憂鬱げに僕は姉に訪ねてみたが、彼女はうーんと考え込みながらウロウロとフロアを歩き回る。やがて一つの扉の前にたどり着き、ゆっくりと扉を開いた。僕も久々に入ったこの部屋は何年も開けていなかったせいか、少し埃っぽかった。

「ここしかないわね。泊めるなら。」

「うわっ、広いなこの部屋。こんな部屋あったんだな。」

橋本も何回かこの家に遊びに来ていたがこの部屋を訪れるのは初めてでまじまじと中の様子を眺めていた。この部屋は元々亡き父と海外に行っている母親の部屋であり、もう何年も誰にも使われることなく空気のような存在の部屋だった。いざ使うとなると、なんだか申し訳なく思えてくるが今はこれしか方法はなかった。

「とりあえず、こっちは掃除しておくから。ご飯作っておいたから食べて。」

姉がグッと親指を上に突き上げ自信満々な顔を見せるが、僕は全員をファミレスに早急に連れて行くことにした。

「泊まるのはいいんですけどお風呂どうしましょうか。」

ある意味女性にとって欠かせないものと言っても過言ではないだろう。寝る場所が決まれば次はそこしかなかった。深夜のファミレスでは人も少なく大勢の客では僕らしかいない。

しかし、そんなことは気にしていないのか勉強のストレスを晴らすかのように全員が料理を選んでいる。結局、遅い時間だからという事でお腹に優しいものを選ぶことにした。
さっきの話題に戻そうとすると深川さんがメニュー表を丁寧にしまいながらはっとした表情になる。

「そういえば、お風呂ってどうしよう。」

先程の話がまったく通じていないことが明確になった。この調子で行くとお風呂も自分の家になりそうではあったが極力避けたいところであった。

「いいわよ。別に気にしないし。」

みんなが考えている中で白石が切り出す。その考えに沿うかのようにみんなも次々と首を縦に振っていく。しかし、実際に全員が了承しても僕と橋本が気になってしまうことの方が問題は大きかった。

ポケットで小刻みにリズムを刻みながらスマホが鳴り響いた。


■筆者メッセージ
こんばんは。
沢山の拍手メッセージありがとうございます。
最近のんびりと更新しているんですよね。まあ理由があるんですけど。

ストック頑張ってためます。応援よろしくです。
桜鳥 ( 2017/02/03(金) 00:36 )