17 昼ごはん Part2 (女子side)
私は見なかったことのように紙袋をリュックにしまって急いで二人のもとへと駆け寄った。
「とりあえず、集合するついでにご飯食べるって。」
蘭世が店頭に並ぶ服をちらちらと眺めながら昼食の話をし始める。そういえばもうそんな時間なのかと今更私は実感をし始めた。それと同時にお腹が鳴り出す。
「齋藤って身体に似合わず音でかいんだな。」
先程までの態度とは大違いの桜井先輩を見ながらやっぱり変わってる人だなと思ってしまう。変わってると言えば生田先輩はいったい今なにしてるんだろう。
「生田達は買い物してるから、先に待っててくれだって。」
タイミングがぴったりなのかまさかの桜井の言葉に身体が反応する。心を読まれているのそれとも単に言ってるだけなのだろうか、考えただけでもうっすらとだが冷や汗をかいていた。
フードコートへ着き、ようやく歩き疲れた足を休ませることができた。足をゆったりしていると橋本先輩がこちらへとやってきた。
「悪いな。生田の服選んでたら思ったよりも時間かかって。おぉ、飛鳥ちゃん大分大人っぽくなったね。紫音がやったのかな?」
「気にくわなかったからな。だけど、もうちょい時間が欲しかったな。生田達は?」
「仲良くデート中だよ。ほら、堀ちゃんが先に来たでしょ。」
橋本がしゃべり終わった瞬間に堀が空いている席に座る。何のことか分からない堀はみんなの様子をただただ見てることしかできていない。
てことは今はあの二人が一緒にいるってことか。あの日のみなみの言葉を思い出す。
『私、一目惚れしちゃったみたい。』
あれから毎日のようにアタックしているという話をよく聞くが、その度に胸に突っかかりのようなものが生まれる。遠くからみなみと彼が歩いてくる。周りの音がかき消されるように私の心臓の音が聞こえてくる。みんなにこの音が聞こえていないか不安になる。
「こらバカップル。こっちだよ。」
はやし立てるように橋本先輩は二人を呼ぶ。みなみは頬を赤らめながら笑顔でこちらにやっきて座る。残り一席、私の前の席には橋本先輩のリュックが置いてある。まるで計ったかのように橋本先輩はリュックを避け彼を座らせる。
もしかしたら私も一目惚れというのをしたのかもしれない。しかし、今まで好きなったことはあるがこんな感じではなかった。では、この気持ちはなんなのだろう。
私はただ彼を見つめることしかできなかった。