10 地図 Part2 (女子side)
「どうかしたんですか?橋本先輩。」
「ん?いや、こういうときは桜井に聞くのが一番だからさ。」
橋本とともに飛鳥もあたりを見回すと、ちょうどお手洗いから戻ってくる桜井を見つけた。
飛鳥自身、桜井の格好や雰囲気に少々怯えを感じていた。
「桜井!飛鳥ちゃんの服装何が似合うと思う?」
戻ってきて早々いきなりすぎる質問に桜井も一瞬戸惑っていたが、私の体をじっと上下に見始めた。
「あー、たぶん背がちっちぇけど顔も小さいからなんでも似合うと思うけどな。強いて言うなら落ち着いた色のロングスカートとか。」
「ロングスカートといえば生田だろうな。」
「ロングスカートで何かあったんですか?」
蘭世が興味津々に先輩2人に詳細を聞き出そうとしていた。若干ではあるが私も気になる。
橋本先輩が話し始めようと口を開いた瞬間。
「&$#%$#!!」
「星野さん!落ち着いて、ゆっくり飲んで。」
なにやら、みなみが暴れているようで桜井先輩はあわてて生田先輩の方へ行ってしまった。
「みなみは炭酸飲んだことないから暴れてるだけですよ。」
そう言いながら先程から姿を消していた未央奈が突然現れた。いったい、どこへ行っていたのだ。炭酸で騒いでいる2人はさておき、なんの話をしていたのだろうか私は思い出そうとしていた。
「橋本先輩。ロングスカートと生田先輩って?」
「あぁ、気を取られてて忘れてた。実は生田は好きなタイプにロングスカートって書いてあるんだよね。」
飛鳥を含めその場にいた3人は橋本がなにを言っているのか分からないでいた。
「好きなタイプですよね?」
「まぁ、あいつ自身も着たことあるしね。姉さんにむりやり着させられてたけど結構ノリノリでさ。あとその時に好きなタイプを必ず答えなきゃいけないことになってとっさにでたのがそれ。」
どこまで恋愛とは無縁だったのだろうか。好きなタイプといえば髪の長い人、目がくりんとしている人なのではないかと飛鳥は呆れていた。
しかも、女装癖があったとは私達は知ってはいけないようなことを知ってしまったみたい。心の内にそっとしまっておこう。
「ようやく帰ってきたな、ポンコツカップル。」
「やめろよ、ポンコツでもないし。カップルでもないです。」
顔をリンゴのように真っ赤に染めているみなみと生田先輩が帰ってきた。だめだ、目が見れない。確かに、よくよく生田先輩の顔を見ると女性の顔立ちをしてる。このような顔立ちながら女装は似合うだろうな。
「もういいから、齋藤さんの服を買いに行こう。」
「はいはい。生田がすねる前に早く行きましょうか。」
そう言って橋本先輩が先へと行ってしまった。生田先輩はその後ろを蘭世に引っ張られながら歩いていく。私はその姿をただただ見ているしかなかった。