05 目的地まで(男子side)
改札を抜け人混みをかき分けていくと四人の女子の姿があった。僕は橋本に背中を軽く押されながら声を掛けようとする。
「ごめんね、待たせちゃって。」
「大丈夫ですよ。今、寺田達も来たばっかりなんですから。」
会話をしながら雅晴はちらりと飛鳥を見るが一向にこっちを向く気配がない。こんなんで謝れるのか不安が頭をよぎった。
「よし、じゃあ行くぞ。迷子になんなよ。」
「大学生なんだから迷子になるこたぁねえだろ。」
先導しはじめた橋本に桜井が食いつく。僕自身もその先導について行く隣には星野さんと堀さんがいた。
「堀さんはもう大学生活なれましたか?」
「はい。なれましたよ、ただ講義はやはり難しいですね。」
キリッとした目でまっすぐ僕を見て答えてくれるのだが、僕は思わずドキッとして目を合わせることができない。
前の方では蘭世と齋藤さん、桜井と橋本の会話が盛り上がっておりその光景を見てこちらも会話を盛り上げなければと雅晴は焦りはじめた。
「今日、雅晴さんコンタクトなんですね。いつもと違う感じで似合います。」
沈黙からの脱出に焦っている最中、星野からの思いがけないアシストに雅晴は安堵した。
「買い物行くし、少しはお洒落していかないと浮いちゃうからね。星野さんと堀さんお洒落だから。」
首を横に振りながら謙遜する堀だが星野はなにやら違うことにご立腹の様子で。
「雅晴さん。約束しましたよね、みなみのこと下の名前で呼んでくださいって。」
「ごめん、どうもなれなくてさ。み、みなみさん?」
「そんな急に名前で呼ばないでください。びっくりします。」
頬を赤く染めながら大声で注意されたのだが、なぜ注意されたのか僕には全く当てがなかった。ましては要望に応えただけなのに。目の前の橋本達も大声に気づいたのか後ろを振り向く。
「生田またなんかしたのか?」
「なにもしてないってば、ただみなみさんの名前を呼んだだけだよ。」
「生田にしては珍しいな。女子の名前を下で呼ぶなんて、なにもうそんな関係なの?」
からかってくる橋本に僕は必死になりながら否定をする。みなみさんも自分のこと言われてるのになんで否定してくれないの。
助けをこおうと星野に目を合わせようとするが顔を真っ赤にしながらうつむく星野に雅晴はもはや助かるすべがなかった。ふと、その時に齋藤と目があったのだがなぜだか冷たい目を向けられ余計に今後の展開が不安になってくる雅晴だった。