花言葉〜恋していいですか?〜







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June
02 立ち読み(女子side)
「お客様―。本の立ち読みはご遠慮ください。」

今日は大雨のせいか客足が少ない店内で店員の声が響く。そんな中、飛鳥は店員の忠告を無視しまた新たに本を取り出しては読み始めていた。

「お客様―。本の立ち読みはご遠慮ください。」

「お客じゃないです。店員ですよ。」

「だったら尚更よ。商品に手を出さないの。」

ただでさえ客足が少なくて暇をしているのにつぶす道具さえも奈々未に取り上げられるとなると飛鳥はとうとうやることがなくなってしまった。奈々未は再びレジに戻ると、雑誌の読んでいた途中のページからまた読み始めた。

小さな梯子を使いながら本棚の整理を始める。よくこんな古びた本まで取り扱っているのか飛鳥にとっては謎であった。それのせいもあるのか本屋の客層も年齢が高い人ばかり。奈々未さん目当てで来る若い客もいるが愛想よく振りまいて帰らせてしまう。
そういえば、奈々未さんに聞かなければいけないことを思い出す。一人暮らしについてだ。

きっかけとなったのは五月のゴールデンウィークのあの一件からのこと。自分自身が変わらなければいけないと思ったからだった。勉強も生活もちゃんと自分でできるようにと。
ほかの3人は実家暮らしということもあり参考にはならず、ほかにあてがあるとすれば奈々未さんしかいなかった。

「どこかいい物件とかありませんか。」

「なによ、突然。ここは不動産屋じゃないのよ。」

カウンター越しにきつめの返答とでこぴんをくらう私。おでこをさすりながら痛みを和らげる。どうしたものか、この人しか当てがいないのが悔しくて仕方なかった。

「私、一人暮らし始めたいんですけど。部屋とか探したことなくて。」

二発目のでこぴんが来るのかと思えば入口のほうを指さす。一瞬、何の事だか分らなかったがフリーペーパーと一言耳に入ったとき察しがついた。無料と書いて束になっている冊子から一冊抜き出し、カウンターへと持っていく。すぐさま、奈々未と冊子を広げ物件探しを始めるがどれもケタが違く飛鳥にとっては手が出せないほどであった。

「飛鳥、月々の家賃はどれくらいまでが限界なの。」

「えーと、5万から6万くらいが限界かも。」

「あんた、社会人なめてるわね。8から10が普通よ。」

一人暮らしの出鼻を砕かれてしまった。ほかに安いところはないかと今度はスマホで調べ始めるがなかなか見つからない。見つかっても大学やバイト先からほど遠く移動だけでも体力が持っていかれてしまう。

「なんでそこまで一人暮らしにこだわるのかしら。好きな人でもできたの。」

「それはないです。絶対に。」

反射的に否定の言葉を投げる。奈々未はこれ以上に興味はないのかへーと言いながら冊子を再びめくり始めた。

■筆者メッセージ
こんばんは。
たくさんの拍手メッセージありがとうございます。
昨日はものすごい拍手が来て非常に驚いています。熱烈な方がいたのかな?
ありがたいものですね。投票もあったみたいでありがとうございます。
さてさて、隠れ人気の西野教授ですがだいぶの反響がありますね、これじゃどっちがヒロインかわからなくなってしまいますねwまあ、変えないんですけど。
どう展開するか楽しみにしててください。
桜鳥 ( 2016/09/08(木) 00:07 )