花言葉〜恋していいですか?〜







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June
32 ふいに(男子side)
外に出ると雨は止んだのかコンクリートのムッとした湿気交じりの匂いが鼻につく。外までわざわざ出てきて見送りをする斉藤さん。

「ありがとうございました。今度来るときは橋本君連れてきてよ。」

「橋本?橋本はうどんよりラーメン派だよ。」

「え?そうなの。」

ショックの色を隠せないのか、表情が曇る。何かまずいことでも言ってしまっただろうか。だけど、そんな斉藤さんをみて少し可愛らしく思ってしまう。意外にも人をいじるのは楽しいんだな。

「こら、生田君。乙女をバカにしないの。バチ当たるで。」

そういって彼女は僕の頬をつつく。意外にも深くつくもんだからうっと思わず声が漏れてしまう。それを面白がっているように見える彼女に対し、さっきの言葉をそのまま返したい気分だった。

「じゃあね、斉藤さん。また、大学で。」

「ばいばーい。」

まるで長期の休みでしばらく会わない人への挨拶といわんばりに手をブンブンと振ってくる。あれじゃ、確かに橋本が苦手にしているのも分かるな。

「生田君はああいう子がタイプ?」

駅までの道を二人で歩きながら、西野は雅晴に質問を投げる。なぜ、彼女がここまでして自分のタイプを聞いてくるのだろうか。疑問を頭に浮かべる。研究者だからこそ真実を追求したいのかと思うと納得してしまう。

「タイプじゃありませんし、これ以上詮索しないでください。」

冷静に返すが彼女は引き下がろうとしない。もう一度、あの時のように怒るべきかと一瞬考え込んでしまう。だけど、彼女の目を見たときにそんなことができなかった。

『生田先輩は何もわかっていないんですね。』

目の前の西野教授が一瞬齋藤さんの姿と重なった。すぐに現実には引き戻されたが、心には妙な感覚が残っていた。

「じゃあ、最後。もし、ななが今ここで付き合ってって言ったらどないする。」

まだ夏でもないのに背中に汗が出ているのが分かる。これはどうとらえて良いのかわからない。普段はこの後に冗談やでと言ってくるのに。

頼むから冗談であってほしい。雅晴はただそう願うばかりであった。しかし、改札の前まできても立ち止まって沈黙が訪れるばかりで、ずっと西野は回答を求めていた。

まさに崖から突き落とされそうな感覚だった。嬉しくもないでも悪い気分でもない。人間土俵際まで追いつめられると自分の気持ちに素直になってくる。初めて開く自分の心の扉には彼女しかいなかった。

もしかして、これが恋?

目の前にはため息を一つついて、待ちぼうけの西野教授が写る。

「意気地なしー。」

子どものようなセリフを残して、頬を膨らまして彼女は改札の奥へと消えていく。
西野教授が消えてもドキドキと心臓が高鳴っている音が聞こえている。もしこれが恋なら僕は一体誰に恋をしているのだろう。


■筆者メッセージ
こんばんは。
沢山の拍手メッセージありがとうございます。
今、急用で実家にいるのですが、吹雪です、寒いですw
さて、最近ラジオを聴くのにははまってますがラジラーおもしろいですねw
最初からききなおそうかな。

返信メッセージ
わらびもち
実はあえてどっちの麻衣にしているか伏せているのに気づきましたか?深川さんか白石さんのどちらか。

番外編はまた作りますよ。これ関連で。

ゆったんはいづれピックアップしたいですね。
桜鳥 ( 2016/12/17(土) 00:41 )