花言葉〜恋していいですか?〜







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June
29 明かり (女子side)
ポケットの中で小刻みな振動が体中に伝わって、ポケットに手をいれ探る。
手に取ったスマホの画面には宝条からのメッセージが来ていた。ここ数日やりとりをしているが飛鳥にとっては単なる作業に過ぎない。しかし、このまま放置するのも先輩という肩書に対して失礼だと考えついて、ただ曖昧に返すことしかできなかった。

『期末テストが近づいてきたから、一緒に勉強しないかい。』

『遠慮します。』

ただ一言だけ返す。この人にはこれくらいで十分だろう。こうやっておけば、いづれは諦めがつくであろう。高校時代の飛鳥はこういったことばかりで男を寄せ付けることはなかった。

恋愛に関しての相談はみなみが一番のはず、しかし今となってはライバルとなってしまっている彼女に相談できるわけがない。いっそ、みなみに宣言でもしてしまおうかと大胆なことを考えてみるが、ただでさえ謝るのにも一か月かかったというのに宣言でもなってしまうと言うころにはみなみと生田先輩が付き合っているころかもしれない。

すっかり暗くなってしまった窓の外の世界はただ街灯と家の明かりが点々と雨のおかげか輝いて見える。何も考えずに外を眺めるといつの間にか見知らぬ景色に変わっている。
慌ててボタンを押すがバス停につくまでに時間がかかって不安になり始める。

ようやく、降りた場所はしんと静まり返った住宅街で雨の音だけが聞こえてくる。一人だと余計に寂しく思えてきて、先程の彼の暖かな笑みが胸に染み込んでくる。

次のバスまでは一体いつなのだろう。時刻表を確認するも次の時間まで1時間も待つことになっている。むしろこのまま歩いて行った方が早いのではないかと判断がでてくるが、道がわからないと理由で、脳内で却下という意見が下る。

そうと決まれば待つことに徹底しよう。スマホを眺めながらバスが来るのを待つと一台の車が向かい側からやってきた。車のヘッドランプが眩しくて思わず目をつむってしまう。
同時に大きな声で私を呼ぶ声が聞こえてくる。


■筆者メッセージ
こんばんは。
沢山の拍手メッセージありがとうございます。

最近、ストック作りに専念しててこちらを疎かにしてました。少しずつ頻度を上げるのでご了承を。
さて、また番外編を作ろうと思っているのですが今度は誰にしようか迷っているところです。もし、誰か取り上げてほしい人がいればやってみたいと思うんでコメントください。
桜鳥 ( 2016/12/09(金) 00:36 )