21 計画中(女子side)
講義が終わって4人で集まり、ある計画が実行されようとしていた。ノートを広げながら何が必要かを考える。
引っ越しを週末に控えた私は部屋の配置やら家具の調達など多くの問題を抱えていた。3人にも協力をしてもらい着々と準備を進める。そして、今は当日に引っ越し業者を呼ぶか呼ばないかという議論が繰り広げられていた。
「予算の都合上、呼べなくない。」
「だけど、呼ばないと大きい荷物とかはどうするの。」
蘭世が頭を抱えながらスマホの画面をスクロールする。未央奈に関しては部屋の配置をじっと見ながら何かを考えている様子だった。沈黙が続く中、ぽつりと堀が呟く。
「今朝、桜井先輩は軽トラックで大学来てるのを見たよ。」
そう言って再び図面へと視線を下げる。なるほど、先輩という手があったか。たぶんみなみも同じ考えをしているだろうが桜井先輩となるとあの4人を呼ぶことになる。つまりは生田先輩も呼ぶことになるんだ。
「じゃあ、先輩たちに頼んでみよっか。とりあえず、橋本先輩に聞いてみるね。」
蘭世がスマホで連絡を取り始める。そういえば、あれからやり取りというのも2,3回程度しかしていない。最初の頃に蘭世が言っていた通り、返信が遅いというか見なさすぎる。
そのせいなのか、最近私はスマホの見る頻度も増えてしまったし、そのたびに何回もため息を吐いてしまう。わかってはいたもののいざ自分にやられるとなるとつらいものだ。
『今週末は空いてますか?』
すぐに既読がついてくれればとわずかな望みをかけるがあっけなくそれは叶わない。どうしたらいいんだろうな。疑問が頭の中を渦巻く。よく女の子は自撮りを送ったりとかして気持ちを引っ張る所謂『釣り』と呼ばれるものだな。しかし、私にそんなことができるほど器用でもない。すぐにそんな考えが水のように流れていく。
「ねえ、飛鳥聞いてる。」
「え、ごめん。聞こえてなかった。」
「だーかーらー、三人は来てくれるんだけど生田先輩来ないんだってー。」
拗ねたように頬を膨らませている星野に飛鳥は何もかける言葉がなかった。星野本人は知らないところで動いている。ましてや、飛鳥もそうだった。もしかしたら、もう付き合っているのかもしれないそんな考えまでもでてきている。
LINEを開くと生田先輩からメッセージが来ていた。
『ごめん。予定があるんだ。なにかあった?』
先ほどの知らせに重なるように空しさが重なっていく。素早く返事を返そうとするが文章を考えてしまう。悩んでは消して悩んで消して、そうやって出来上がった文章。
『わかりますた。』
あっと送った後に気づく。しかし、もう訂正ができない。既読がついたまま何も来なくなる。私と彼の関係は何も進んでいないのに、ただ引っ越しの話し合いがただ進んでいく。