花言葉〜恋していいですか?〜 - April (女子side)
29 迎え
「そういえば蘭ちゃん。LINE見たから、たぶん大丈夫。」

「ほんとですか。それなら良かったです。」

なんのことを言っているのだろうか。私は安心したように答える蘭世を見ながらLINEの内容が気になった。桜井先輩も内容を知っているらしく蘭世に親指を立てながら少し微笑んだ。

「笑うんだ。」

思わず呟く。それを聞き逃さなかった橋本先輩はこらと言いながら、私の頭にぽんと軽く手を置き、イタズラっぽく笑った。
そこからはくだらない話が続き時間が過ぎ学生達も大学から続々と校門にむかって帰ろうとする。話に夢中になっている中、橋本が腕時計を確認し気付いたように周りを見始めた。

「そういえばそろそろ生田を迎えに行かないとな。」

「生田先輩帰ったんじゃないですか?さっき大急ぎでどこかに行きましたよ。」

「違うよ。あいつ旧校舎によくいるんだよ。」

そういえばと私は先程の出来事を思い出した。生田先輩に謝る機会を逃してしまったのでできれば謝っておきたいという思いがあった。また、この場に来るのであろうか。そう思うと自然と後ずさりをしてしまう。

「いるんだったら、飛鳥さ生田先輩に謝りに行ったら。」

すると先程までほとんど口を開かなかった未央奈からまさかの提案があった。先輩の二人も察したようで私の顔を見ながらにやにやとなにやら考えている様子。

「だったら飛鳥ちゃん。俺と紫音、蘭ちゃんと話したいことがあるから生田呼んできてよ。」

「え?いや、無理。無理です、無理です。」

「だったらみなみも行くよ。それなら飛鳥ちゃんいい?」

生田を呼び出すのに一人心細いのを知ったのか、星野が呼び出しがかりに立候補してきた。それならばと飛鳥は渋々了承をする。
疲れた足をゆっくりと運びながら、飛鳥と星野は橋本に教えられた道順で旧校舎に向かっていった。

「旧校舎ってなんかどきどきだよねー。」

「そう?私謝ることで頭いっぱいだからそれどころじゃないよ。」

暢気にみなみは遠足気分で旧校舎に向かっていく。古びたコンクリートの校舎が私の前に現れる。一段と重くなる足が自分の意志に反して無意識に旧校舎の入り口に向かっていく。
旧校舎の重い扉を開けながらゆっくりと私達は音を立てないように中に入っていった。

「みなみ、やっぱり戻らない?」

「ここまで来ちゃったら、もう戻れないよ。あと、ここであやまんないともう機会ないかもよ。」

みなみは私の服の裾を引っ張りながら旧校舎を歩いていく。誰もいない廊下をゆっくりと歩きながら生田先輩がいる教室へ向かう。

■筆者メッセージ
おはようございます。
読んでいただきありがとうございます。
2日ぶりの投稿です。申し訳ないです。

感想やメッセージあればよろしくお願いします。
桜鳥 ( 2016/05/04(水) 07:56 )