27 告白?
「やっぱり告白か。」
ぼそっと未央奈が呟く。嘘でしょ、やっぱりって日常茶飯事みたいじゃん。唖然としながら私は未央奈を見ると、冷静な顔をしており慣らためれとは恐ろしいものだと改めて思った。蘭世の様子を見てみると二人を疑う様子で見ているみたいで首を傾げながらぶつぶつと呟いている。
「飛鳥ちゃん、チャンスじゃない?今なら、謝れるよ。」
蘭世からの急な提案に私は困惑した。今あの雰囲気の中に割ってはいることができるほど私にはコミュニケーションは持ち合わせていない。行くことを渋る私を見て呆れた蘭世は生田先輩にきっかけを作ろうと意気揚々と駆けだしていってしまった。
遠くから様子を見る二人は蘭世を追っていたのだが、様子に気付いた雅晴はどこかへと慌てた様子で行ってしまった。
「逃げたよね、あれ。」
「確実に逃げたね。蘭世ちゃっかり躓いてるし。」
可哀想になりながら私たちは一人になったみなみのもとへとゆっくりと向かっていった。
蘭世の方も息を切らしながら先にみなみのもとについていた。
「みなみちゃん、生田先輩に告白されてたの?」
ずばっと本題に入る蘭世に私は止めようとしたが、厳しい目つきをした蘭世を止めることはできなかった。まさに修羅場とはこういう事なのだろうと思ったのだがみなみはなんのことだかわからず目をぱちぱちと動かしていた。
「確かに告白はされたんだけど、生田先輩はたまたま会って話を聞いてもらったんだよ。」
なんだ、私達の勘違いなのか。しかし告白されたという事実には変わらない。やはり女の子特有の雰囲気なのか甘い香りに誘われてくる蝶のように男達はこの一輪の花であるみなみにむかって集まるのだろうと私は脅威というものを感じた。
「みなみちゃん。もう少し生田先輩止めててくれればー。」
頬をふくらませながら拗ねる蘭世に申し訳なさそうにみなみは手を合わせていた。
私は会わなくて良かったと安堵する反面、謝るタイミングをまた失ってしまったという後悔が生まれていた。
「ごめんね。止めようと思ったんだけど、その時にはもうどこかに行こうとしてたから。」
「そういえばみなみ。なんで生田先輩にあったの?」
「うーん。なんか、告白されて考え事してたら生田先輩が声を掛けてきてくれたの。だけど、あの人鍵持っててどこか行く様子だったよ。」
告白の件をあっさりと流す未央奈は淡々と生田先輩の行動を聞き出していった。すると、先程私たちがでてきた入り口から橋本先輩ともう一人見慣れない人が一緒にでてきた。
私達の様子が目に入ったのか橋本先輩はゆっくりと私達のところへとむかってくる。
「どうしたの、四人でこんなところに集まって。」
「橋本先輩お疲れ様です。今からみんなでご飯に行こうと思ってたんですよ。」
「蘭ちゃん、友達できて良かったね。生田も紫音もびっくりしてたからさ。そうだよね紫音。」
そういいながら橋本先輩は後ろを振り返りながら先程から一緒にいた同級生らしき人物に声を掛けた。その紫音という人物はダンボールの長い筒を肩にのせガムを噛みながら曖昧に返事をする。