13 心理学部
「飛鳥ちゃん。電話とかの時もそうだけど、素直じゃないよね。だけど私そういう人好きだよ。なんか可愛くて。」
蘭世は笑いながら私にとって確信があるところをついてきた。確かに奈々未さんからもよく言われていることで、まさか蘭世までにもばれると思っていなかった。
「よく言われるけどさ。だけどもうここまで来たら開き直るしかないよね。」
飛鳥自身この性格には嫌気がさしていた。しかし、もうここまできてしまったのだからわかる人にはわかってもらえればいいと開き直っている。
蘭世はやはり変わり者なのかこんな私をあって月日もないのに慕ってくれていることに対して何か裏があるのではと考えてしまうくらい。
「ここでいいんだっけ?」
私たちは見慣れない場所で教室に入ろうと躊躇する。蘭世と目配せするもお互いがお互い人見知りが激しいためあと一歩を踏み出すことができない。
すると後ろから先ほど受付で出会った能條さんが歩いてくるのが見えた。
「ん。君は橋本氏の後輩。名前は確か。」
「齋藤です。齋藤飛鳥。こっちが寺田蘭世です。」
「そうだったな、すまない。はいらないのか?」
能條は扉を開けながら、飛鳥たちを扉の中に誘導した。誘導された飛鳥たちは恐る恐る中へと入っていく。中には大勢の学生がいて二人は最後だったらしく注目の的となった。
席は前しか空いておらず教壇に堂々と向かう能條の後を追うように前の席に向かっていった。
「なんか、すごい視線が痛いんだけど。」
あたりを見回しても初めて見る顔ばかり、蘭世は落ち着かない様子だったので私までおろおろするわけにはいかなかった。
「新入生諸君。入学おめでとう、私は二年の能條幸城といいます。以後お見知りおきを。」
丁寧に自己紹介をしていく能條に新入生全員が真剣なまなざしで聞いていた。
「さて、心理学部とはそもそも何を勉強するのか。それを今から紹介しよう。」
能條はプレゼンテーションを淡々と進めていった。ものすごく流暢に進むものだからよほどの優秀者なのだろうと飛鳥は関心を示していた。
「ちなみ、私はたまにふらりと旅にでるため単位をいくつか落としている。因みにこれから受ける一年生の必修も落としたため皆とうけなければいけない、よろしく。」
前言撤回だ。優秀だが行動がおかしすぎる。あまりの驚きだったのか教室が少しざわついた。一生懸命メモを取る蘭世を隣に私はもはや夢の中へと入ろうとしていた。
「ではそろそろ寝そうな人が出てきそうなので、簡単な実験をしよう。」