花言葉〜恋していいですか?〜







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April (男子side)
07 迷走
僕は朝から大学へ行き橋本とエントランスの丸テーブルで明日の入学式とコース案内の打ち合わせをしていた。

「資料とか作っておいた方がいいかな。」

「いや、パワポでも作っておいてプレゼンもありだと思うけど。」

頬杖をつきながらお互い何をすればいいのかわからないままに話が進んでいった。その時に、エントランスの入り口にあるディスプレイを眺めている青年が目に入った。

「あれ、紫音じゃない?紫音―。」

エントランスの入り口でガムを噛みながら大きな画板をもっていた青年に橋本が大声で呼びかけた。近くに寄ってきた雅晴の友人の一人である桜井に対し僕らは相談を持ち掛けた。

「俺もその担当だけどそれぞれの学部・コースの特徴でもだせばいいんじゃね?」

「桜井の造形学部は何するの?」

「絵を描こうと思ってたんだけど、どうもいいモデルがなくてな。」

なるほど、桜井は案があるけど対象のものがないのか。僕は桜井の大きな画板を見ながら理科の特徴って何だろうと考え始めた。
桜井も加えても三人での沈黙がしばらく続いていると、創立者の銅像が雅晴の目にはいった。

「展示...。あ、標本でも見せたらいいんじゃないの?」

「ただ、見せるだけってのも面白みに欠けると思うぞ。」

すぐさま僕の意見は橋本によって論破され、この案がまた却下されるのかと思っていたのだが、今日の僕は頭がさえているのかすぐさまアイディアが浮かんだ。

「スタンプラリーをしよう。」


ん?と二人はこちらへと顔をむけてきた。何のことだと思いながら僕を見てきたので詳しい概要を説明した。

「各教室とか標本の近くにスタンプを置くんだよ。押したら、その場でヒントが書いてあって最終的に理科実験室5にたどり着くようにすればいい。」

なるほどと二人はうなずく。一方は違う学部だけどなと思いながら説明を続けていった。一通り説明し終えたころには、もう時間は昼の12時を回っており先ほどまで空白だったルーズリーフにはびっちりと案が書き込まれていた。

「こんな、ところかな。まあ、これくらいだったら午後からやっても今日中には間に合うでしょ。」

「俺も生田の話聞いてて、大体の目星ついたから午後から準備するわ。」

先ほどの話を聞いててって学部違うだろと危うく突っ込みそうだったが心の中にとどめておいた。

「桜井は結局何書くの?」

「体験型で新入生に絵を描かせる。とびっきりむずいやつ。」

自信満々に答える桜井を見て僕は危うくこけそうになった。橋本をみると口をぽかんと開けていたので僕と同じ考えなんだろうなと悟った。

桜鳥 ( 2016/03/28(月) 06:27 )