17 反省会
ぐったりとした橋本を介抱しながら、僕たち四人は近くのファストフード店で晩御飯を食べていた。
「そういえば、蘭世にはあったのか?俺にも聞いてきたからさ。」
桜井はハンバーガーを食べながら僕に訪ねてきた。
「うん。能條が連れてきてくれたみたい。ほら、橋本飲みな。」
そういいながら雅晴の差し出した飲み物を橋本はストローを通じて飲み始めた。
その様子を見た桜井はやれやれと思いながらまた一口ハンバーガーを食べた。
「全くお前らがいながら何で止めなかったんだよ。」
「申し訳ないと思っている。しかし、割って入ろうとしたときにはもう話が盛り上がっていてだな。」
「そんな女性と話す機会なんてないからさ見過ごしてくれ。」
僕は橋本に申し訳ないことをしたなと思いながら、桜井の話を聞いていた。
ポテトをつまみながら僕は先程の飛鳥という少女の涙が頭に浮かんだ。橋本は後でそのことについては話し合おうとはしていたがこの様子だ、今日はできないだろうと考えていた。
「そういえばだ、桜井氏。生田氏が今日齋藤嬢という女性を泣かせたのだ。」
まさかの能條の発言に場が一瞬凍りつき、そういえばと橋本も顔をあげ話題に参加しようとしてきた。
「そうなんだ、紫音。生田にしては珍しいだろ。」
「珍しいっていうかなんで生田に女の知り合いが増えてんだ?」
「問題点はそこか?能條が連れてきたんだよ。」
「うん、蘭世の友達だって。」
桜井は蘭世に友達ができたことに意外だったのか、ハンバーガーを食べる手を休めた。
確かに高校時代友達があまりいなかった蘭世に対し入学初日に友達ができたことは僕らにとっては大ニュースであった。
高校の時の同級生ではなかった能條は何の事かはわかってはいなかったが雅晴たちの様子を見てよほどのことなのだと察したみたいだった。
「んで、その蘭世の友達を泣かしたわけだ。」
「僕がやったみたいに言うなよ。」
桜井がようやく話題に入ってくれたことにより、話が進もうとしていた。
かという僕は何をどうしていいかわからずただ単に橋本からのアドバイスを待っていた。
「確か生田がハンカチ拾って、ただ渡そうとしたら変態に間違えられたと。聞けば聞くほどおかしな内容だな。」
「うむ、しかしその時に生田氏がムヘへみたいな変な顔をしたのもあり得るかもしれん。」
「それを思い出して怖くなって涙が出てきてしまったと。生田何してんだお前。」
おいおい勝手に変な解釈をするなよ桜井。僕は桜井の勝手な解釈にあっけらかんに取られながらもポテトを食べ進めた。