第2章〜バカとばか〜
第12話
100mほど歩いたところで俺とゆりあはほぼ同時に止まった。
・・・見事にお隣だった。ま、まさか幼馴染?いやそんなはず・・・
俺の幼馴染の女子は誰もあの学校に通ってないはず。
ゆりあも同じことを考えていたらしい。

すると俺の家の方のドアが開いた。
「あら、翔一じゃないの。おかえりなさい。それと・・・あら、ゆりあちゃん」
「か、母さん、コイツと知り合いなの?」
「知り合いも何もあなたたち幼稚園からずっと一緒じゃない」
俺は返す言葉がなかった。ゆりあも同じらしく口が開いたまま塞がってない。

すると、ゆりあの家の方のドアも開いた。
「あ、ゆりあ。おかえり」
「あ、お母さん、ただいま!」
ゆりあのお母さんは俺のほうを見るなり口を開いた。
「あら、翔ちゃんじゃないの。もしかしてゆりあと恋人になっちゃった?」
「え、お母さん、このバカの事知ってるの?」
「知ってるもなにもアンタたち幼稚園から一緒じゃない」
俺の母さんとまったく同じこと言った。
今度こそ俺は絶句した。コイツとは今日が初対面じゃないくてまさかの数年前から知り合いだったなんて・・・どうりで家も隣になるはずだ。

「あら、木崎さん。ご機嫌麗しゅう」
母さんのやついつの間にそんな上級マダムの使いそうな言葉を覚えやがった。
「あら、霧崎さん。お久しぶりですね」
となりなのにお久しぶりなのか。
ふとゆりあのほうを見ると自分のお母さんと俺のお母さんの顔を交互に見ていた。
どうやら未だに俺と幼馴染と言うことが信じられないらしい。
いつの間にか上級マダムっぽい話をしていた俺たちの母親は家の中に撤収していったらしい。
しばらく俺とゆりあは無言だった。
「な、なぁゆりあ。幼馴染って知ってた?」
「し、知ってる訳無いじゃん!どうりでこのバカとは気が合いそうな気がしたわけですか」
「お前の方がバカだったろ?」
「えー?数学はねー?英語なら得意だよ!」
なんで家の前にまで来てこんなバカの対決をしなきゃならんのだと自分で思いながら俺は問題を出した。
「Elephantの意味をどーぞー」
「え、え・・え・・・えぇっと・・・んーエレファントでしょー?んー」
これで解けなければ俺の勝ちということにしてほしい。

「3秒前。ニー、イーチ。はい、答えは?」
「・・・わかんない」
ゆりあが下唇を突き出しながら言った。
俺は勝利した最高の気分を味わったのだがそれも少しの間だけ。
「じゃー翔ちゃんに問題!名古屋城のてっぺんにあるシャチホコは何色でしょー?」
ゆりあに問題を出されたのだ。もちろん名古屋には行ったこともなければお城なんて見たこともない。俺は必死にシャチホコの色を考えた。
「えーわかんないの?3秒まえー」

「銀色!」

「ブッブー。これは私の勝ちだね!」

「はー・・・これで3戦2勝1敗か。まだ俺が勝ってるぞ」
「えー私の勝ちがいいー勝つまでやるー」
おもちゃ買ってもらえない時に子供が言いそうなセリフをゆりあが言ってきた。
「それはまた明日にしてくれ。さ、寒いんだ」

「翔ちゃんのバカ」
ゆりあは最後に俺のことをバカにしてから笑いながら家の中に逃げ込んでいった。
俺は言い返す暇もなかったので家の中に撤収した。


■筆者メッセージ
どうも、Aliceです。
この土日、PCに向かっていた時間がおかしい気がします。ほとんどPCの前にいました(笑)
おかげで暖房つけなくてもいいくらい暖かい(PCの排熱)

かなりのエコですよこれ(笑)

感想、コメントお待ちしております。
(明日からまた学校か・・・寒いな・・・)
Alice ( 2013/12/08(日) 20:41 )