06
「これがこのハードディスクに入っていたデータです」
翌日、新司の解析が終了したため泰斗は3人を起こし、新司の仕事部屋で解析されたデータを確認していた。
「こ、こいつは…」
そこには3人の言っていた通り、プリズンの運営、クリーナー育成に関係した全ての人間、企業の名前が入っていた。
「大手IT企業に芸能人、警察官僚、国会議員まで…」
「クリーナーを生み出すだけにこんだけの人間が関わってんのかよ」
各界の著名人が裏でこんな事をしているとは。その光景に5人は唖然とする他なかった。
データを見ていると新司がある人物の名前に気づいた。
「や、泰斗さん!この人!」
「マジかよ…」
新司が指差した人物。それは現内閣の防衛大臣の岡邦男。大臣就任前から犯罪やテロ対策に強く力を入れている。また、彼の国民からの信頼も厚く、次期総理大臣に最も近い人物だ。
「恐らく、この岡が黒幕で間違いないだろうな」
「国民全員が認める大臣が自ら犯罪に手を染めてるなんて…未だに信じられないです」
「早く行きましょう!この人の所へ!」
早くも黒幕が分かったことで躍起になる名無し。恐らくここの誰より仲間を助けだしたい気持ちがあるのだろう。
「落ち着け。相手は現内閣の防衛大臣大臣だぞ。アポ取ったところで会わせてくれるとは思えない。昨日も言ったけど、ヘタすりゃ捕まるか殺されちまうぞ」
泰斗の言葉に名無しも少しばかり落ち着く。とはいえ、ずっと待っていても事は進まない。
「とりあえず、外枠から崩していくぞ。少し時間はかかるかもしれないが、中心の奴らに会うためには焦ってもしゃあない」
「って言ってもどこから探ってくんすか?こんだけの人間がいんのに…」
「まず現場検証だ。プリズンに行くぞ」
泰斗の口からプリズンへ行くと出た瞬間、名無しが身ぶるいをしだす。それを見たピースは必死に名無しの背中をさすりだす。
「泰斗さん。名無しは…」
「3人からしたらまたあの地獄へ行こうって言われてんだ。無理はしなくていい。つっても、流石に拠点は移してるだろうがな」
「え?」
「世間が騒ぎ立ててないとはいえ、3人も脱獄者が出てんだ。それにプリズンのデータも。いつバレるか分かんねえとこにずっといるわけねえだろ?」
それを聞いて名無しも少しばかり落ち着いたようだ。とはいえ無理はさせられない。
「名無しと新司はここに残れ。あとの2人は俺と一緒にきてくれるか?行くとは言ったが、詳しい場所が分かんねえからな」
「分かりました。一緒に行きます」
こうして、新司と名無しを事務所に残し、泰斗はパルとピースを車に乗せプリズンへと向かった。
「………見つけた」
その光景を影から見ていた人物がいた。その人物はどこかへと電話をかけ始める。
「……もしもし。私です。例の3人のうち、2人を見つけました」
『どこでだ?』
「あの久坂泰斗のヴェリタ探偵事務所です」