01
都内のある街の片隅にあるビルの一室。
プルルルル…プルルルル…
「新司〜。出てくれ〜」
少し散らかった部屋の中で電話が鳴る。ソファに寝転がっている男が新司と呼ばれる男の名を呼ぶ。
「へーい。もしもし…あぁ、うちは結構です。は〜い。失礼しま〜す」
「なんだ?牛乳配達かなんかか?」
「いや、ネット環境のどうのこうのってやつでした」
新司は電話を取って相手が分かった途端、気だるそうに話し電話を切る。ソファに寝ていた男は伸びをしながら新司に問う。それに新司は残念そうに答える。
「ここ1ヶ月仕事来ねえなぁ。新司よぉ、誰か探しに行ってこいよ〜」
「なに言ってんすか、泰斗さん。トラブルとかで困ってる人がいないってのはいい事じゃないすか」
「バカヤロウ。それじゃこっちの商売上がったりだよ」
ここはヴェリタ探偵事務所。所長の久坂泰斗と永井新司の2人できりもりしている。2人は高校の先輩と後輩の間柄で1年前、泰斗が大学卒業してすぐにこの事務所を設立し、高校を卒業してフラフラしていた新司に声をかけ2人で仕事を回してきた。ペット探し、浮気調査などが主であるが他の探偵事務所と比べると仕事量は少ない。
「まあ、そのうちフラッと来ますって」
「それがこの1ヶ月ねぇから困ってんだろうよ。新司、店番頼んだ。俺、タバコ買ってくるわ」
今日もどうせ暇だろう。そう思って泰斗はタバコを買いに出かけようとした時……。
ガチャ
事務所のドアが開き、2人はドアの方へ目をやる。そこには3人の少女が立っていた。