初デート?
美音お嬢様とランドセルを背負っていないお出かけというだけでBは緊張していた。
執事とお嬢様という関係を忘れろといわれても美音お嬢様は可愛い部類に入る。
誘拐などに遭わないか心配で仕方がないのだ。
「B。さっきからチラチラ私のこと見て私の顔に何か付いている?」
「いえ。お嬢様が無事かどうかが気になりまして」
「お嬢様は禁止!・・・はい。手、出して!」
「今まで美音お嬢様で通してきたのにどう呼んで良いのか、わからないんです。」
「美音で良いのよ。はい。これで良いでしょ?」
「は、はい。み、美音、ちゃん。」
「早く慣れてね。B」
美音お嬢様とBが行く遊園地にはとある伝説がある。
夕方(通常営業日の閉園一時間前)に観覧車のてっぺんでキスをしたカップルは結ばれるというものだ。
「閉園まで勉強よ。(キスしてBとカップルに)」
「は、はい。(息抜きというより拷問的な気はする。)」
ジェットコースター等絶叫マシーンでダウンするBだった。
「大丈夫?B。」
「美、美音ちゃんの勉強の為なら、この程度。」
「絶叫マシーンはもういいわ。コーヒーカップとかメリーゴーランドにゴーカートに乗りたいわ。」
「は、はい。美音ちゃん。」
「その前にちょっと休憩。」
「美、美音ちゃん。」
「そのまま寝なさいよ。今日は息抜きの日なんだから。」
「は、はい。」
美音お嬢様の膝枕でBは寝かされるのだった。
Bの寝顔を見ながら実音お嬢様は自分の感情を再認識した。
(やっぱり私はBが好き。)
世界的には十分だが、美音お嬢様にとっては一瞬のような気がした。
「起きて、ダーリン。」
美音お嬢様の悪戯な言葉を聞いてBは飛び起きた。
「美、美音ちゃん。驚かせないで、よ。」
「よく眠れた?」
「あ、ありがとう。」
「どういたしまして」
休んだあとの二人はカップルそのものだった。
メリーゴーランドは馬車で向かい合って座り、ゴーカートはBの運転する姿に惚れていた。
そして、閉園一時間前になり、観覧車に二人は乗り込んだ。
「美音ちゃん?」
「どうしたの?B」
「いや、どうして俺の隣に?」
「もし、観覧車が止まったら頼れるのあんただけだから。」
「大丈夫だよ。俺が必ず美音ちゃんを守るから。」
「B、顔にゴミ着いているよ。」
「え?」
「とってあげるから目をつぶって」
「は、はい。」
『チュッ』
「美、美音ちゃん!?」
「いつものお礼。これからもよろしくね。B」
「はい。」
こうして二人の初デート?は終わった。