出会い
朱里の父は屋敷に一人の少年と共に帰った。
「今日からここがお前の家だ。そして、私はお前の主人だ。」
「は、はい。旦那様。」
少年Aは朱里の父によりかなりの恐怖を与えられてここにきたようだ。
「お父様。お帰りなさい。」
「あぁ、朱里。お前にお土産だよ。今日からお前の執事になるAだ。」
「よろしくね。」
「はい。よろしくおねがいします。お嬢様。」
「それじゃ、私は出かけてくる。」
父親がいなくなると朱里はAに近寄った。
「君、大丈夫?」
「平気です。」
「お父様はいなくなった。私と友達になって。」
「良いんですか?僕なんかと友達になったら旦那様にお嬢様も怒られます。」
「お父様がいない間だけよ。私は高橋朱里。」
「Aです。」
「A。外の話を聞かせて。」
「はい。」
二人は手を取り合いながら、朱里の部屋に向かった。
Aが外のことを話すのを朱里は笑顔で聞いていた。
話が途切れると、朱里は悲しそうな顔をした。
「どうしました?お嬢様。」
「うん。外のこと聞いてたら羨ましいなって思って。」
「どうしてですか?」
「だって、私の未来はもうお父様に決められた。私はいずれこの家の為に誰かの元に行く。私も普通の家に生まれたかった。」
「お嬢様。未来が決められなくても次の瞬間は自分で決めるものですよ。それの連続が未来になると僕は思います。」
「ありがとう。」
二人の物語はここから始まった。