彩の相棒は
正輝の目の前にあの男が現れた。
○○、彩のバンド仲間にして、彩の初めてを奪った最悪の男だ。
「よぉ、彩の彼氏君。」
「言っている意味がわからないんですが、僕に何か用ですか?」
「あいつが愛すべきは俺なんだ。彩の前から消えてくれないか?」
○○は口を動かしながら、正輝に手を出してきた。
「危ないな。」
正輝は元犬だけに相手の動きが読めてしまった。
「男なら拳で語ろうや。彼氏君。」
正輝は軽快なフットワークで○○の攻撃をかわし、腕を後ろにひねりあげた。
「いてて、てめー。」
「彩とあんたの関係なんて知りませんが、二度とうちの彩に近づくな。」
「くそ。覚えていやがれ。」
正輝に近づく女がいた。
「あのー。ちょっとお時間良いですか?」
「はい。別にかまいませんが。あなたは?」
「山田菜々です。」
「確か五期の寿々ちゃんのお姉さんでしたっけ?」
「はい。うちの妹がお世話になってます。」
「ここじゃなんなんで、どこか喫茶店でも。」
「はい。」
二人は喫茶店に向かった。
「それで僕に何か?」
「彩は元気にしてますか?」
「ええ。みんなのことを引っ張ってますよ。」
「彩と寿々のことをお願いしますね。」
「あっ、はい。」
正輝は、菜々から彩のことを託された。
彩と正輝の物語の終幕はまだ見えないが、そこから先は二人だけの物語。