海遊館へ
正輝は知識をつけ、歳相応の人になった。
彩は正輝が発情するのは満月の夜であると生活の上で解明した。
隠すわけにもいかないので、正輝には正直に彩は自分がアイドルであることを明かした。
「そっか。僕も仕事した方が良いのかな?」
「先ずは知識を身につけへんと正輝は社会で通用せえへんで。」
「はーい。」
そんな会話もした。
「彩、ジンベエザメが見られる場所ってないの?」
「どないしたん、急に?」
「テレビでやってたから、もっと見てみたいなって。」
「・・・海遊館やな。」
海遊館、山田菜々が好きな場所で何度かデートで行った場所。
しかも、ジンベエザメを語ったときの顔が菜々とどこか似ていた。
「えっと、海遊館っと。大阪にあるなら」
「正輝。私も一緒に行ってええか?」
「あ、うん。良いけどなんで?」
「息抜きや。」
「彩、疲れているんやな。」
(何を考えているねん。ジンベエザメに興味ないくせに。興味あるのは・・・)
二十歳も越えて様々な経験を持っているのに、その気持ちを誤魔化す彩だった。
〇
正輝はペーパードライバー、彩は免許も持っていない為に、二人は電車を乗り継いで、大阪港駅にやってきた。
「彩、手繋いで。僕初めての土地やから、迷子になったら困るやろ?」
「しゃあないな。」
(スマホ持っとって迷子になるってどんだけ方向音痴やねん。こいつ私のことどう思ってんねん。)
一人悶々とする彩だった。
そんな彩をよそに正輝は、子供のように見るものに感動していた。
(子供みたいやな。発情したら立派な成人やねんけど、って私は何を考えとるねん。)
彩が悶々としているうちに目的地、海遊館はもうすぐだ。