過去編
新生活
彩の目の前にハンカチが出てきた。

「彩さん。涙を拭いてください。」

「え?」

彩はようやく自分が泣いていたことに気がついた。

「あぁ、ありがとう。正輝。」

「僕はどうしたらいいですかね?」

「え?」

「変じゃないですか?こんな男と女性の彩さんが一つ屋根の下に・・・。」

「記憶喪失でも何でもええわ。あんたの免許証の住所が何故かここやねんから、好きなだけおればええやろ。」

「良いんですか?」

「その代わり、家事とかしてもらうで」

「この家を燃やすんですか?」

「そっちの火事やない。家事や。炊事、洗濯、掃除のことや。」

「大変ですね。」

「あんたがすんねん。」

「はい。」

正輝の従順ぶりが犬そのものだなと思う彩なのだった。

「まぁ、今日は私が作ったる。見て覚えるんやで。」

「はい。」

「今日は焼きそばを作るで。」

「今日は焼きそばを作るで。」

「顎までマネすんな。」

「顎までマネすんな。」

「アホと違うか?」

「どうせ。僕なんて彩さんに拾われなければあのまま死んでたんだ。」

「落ち込むな。」

彩の生活は前途多難なようだ。

二人はどうなるのだろうか?



■筆者メッセージ
さや姉が実際に犬をっている為に正輝君は、犬のイメージで書いてます。
光圀 ( 2017/02/20(月) 07:33 )